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「四国霊場開創1200年記念 空海の足音 四国へんろ展」(高知県立美術館・愛媛県美術館)鑑賞記

高知県立美術館
 四国霊場開創1200年記念 空海の足音 四国へんろ展 高知編
(8月23日~9月23日)

 四国4県で、同タイトルながらそれぞれ独自の内容で開催される標題展の、先陣を切って開会した高知会場の会期がどんどん終了に近づき、慌てて訪問。高知県美を会場に、高知県立歴史民俗資料館が企画運営し、歴民資料館よりも展示スペースを広く確保して、高知県内(県外作品もあり)の四国霊場及び遍路文化に関わる資料を多数集める。
 彫刻では熊谷寺の永享3年(1431)銘弘法大師坐像、石造の最御崎寺如意輪観音坐像(重文)、竹林寺聖観音立像(重文)、国分寺薬師如来立像(重文)、金剛福寺愛染明王坐像、禅師峰寺の正応4年(1291)銘金剛力士像(重文)のほか、雪蹊寺の湛慶作毘沙門天及両脇侍像(重文)のうち脇侍の吉祥天・善膩師童子像。後期展示(9/8~)ではさらに充実しそう。工芸資料では、四国八十八ヶ所の存在を示す最古の資料である越裏門地主地蔵堂の文明3年(1471)銘鰐口、延喜11年(911)の陽鋳銘を有する延光寺銅鐘(重文)、金剛頂寺旅壇具(重文)など。高知県の仏教美術の精華を、集中して鑑賞できる又とない機会。図録あり(240頁、1800円)。

愛媛県美術館
 四国霊場開創1200年記念 空海の足音 四国へんろ展 愛媛編
(9月6日~10月13日)

 高知県美から愛媛県美まで、どしゃぶりの中、車を走らせ巡礼の旅。へんろ展を「遍路」して、開会初日の愛媛会場に飛び込む。愛媛県内の四国霊場寺院の近年の調査成果を盛り込みながら、多数の資料を集める。
 佛木寺弘法大師坐像は正和4年(1315)銘を有する、記年銘大師像の古例。風貌、着衣とも独特の赴きあり(裾の皺は紙衣風に見える)。浄土寺空也上人像(重文)、太山寺十一面観音立像(重文)のほか、太山寺女神像(伝玉津姫及び般若姫)は11世紀初めごろの、四国における堅実な神像彫刻の作例として重要。工芸品も充実しており、真光寺密教法具(重文)、嘉吉3年(1443)銘を有する大寶寺三十三燈明台、太山寺の日月鈴などなど。前神寺銅板状阿弥陀如来像は、陽鋳銘に永祚2年(990)とあるが、従来室町時代という判断がなされてきた資料。ただ充実して量感ある阿弥陀如来の表現は10世紀末でも違和感なく、研究史を紐解いてさらに考えてみたいところ。
 四国へんろ展開催の意義は、このように資料を間近に拝見して、四国全体に通底するもの、あるいはその地域独自のものなど、各地域の宗教文化に来館者がそれぞれに思い巡らせる中で、その価値や魅力に気づき、四国の文化遺産を共有していく機運を醸成していくことにあると拝察する。香川会場(10月18日~11月24日)、徳島会場(10月25日~11月30日)にも、なんとしても「巡礼」しなければならない。図録あり(240頁、2200円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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