三重県総合博物館
祈りと癒しの地 熊野
(10月11日~11月24日) 新館開館記念特別展の第4弾。熊野古道・伊勢路を軸に三重県内の熊野信仰遺産をあつめる。善教寺阿弥陀如来立像像内納入品は藤原実重の作善日記や願文からなり、鎌倉時代の地方武士の熊野信仰のあり方を具体的に示す重要資料。佛心寺熊野本地三所権現曼荼羅は八葉蓮華に本地仏を配するタイプの、室町時代の作例で、那智滝表現が独特。仏像では光背銘から天永年間(1110~1113)の造像と分かる正法寺十一面観音立像、三重県南部最古の作と評価される安楽寺薬師如来坐像(11c)、嘉暦4年(1329)銘を有する真巌寺薬師如来坐像など。
なにより本展を特徴づけるのは、三重県内に多数分布する熊野観心十界曼荼羅。展示替えがあるが、他県の資料も含め22幅を一挙公開。2007年に三重県立美術館で展示されて以来の規模で、こうした地域の宗教文化を特徴付ける顕著な資料群の展示の受け皿として、今後三重県博が活動されていくことの、高らかな宣言のようにも感じる。図録あり(112ページ、1300円)。
斎宮歴史博物館
特別展 伊勢と熊野の歌
(10月4日~11月9日) 伊勢と熊野をめぐる和歌の諸相を、和歌集の諸本ほかから示す。展示の核は、近年収蔵された資経本斎宮女御集の鎌倉時代写本。会期後期には、そのツレの資料である冷泉家時雨亭文庫の資経本増基法師集と並べる。ほか、和泉市久保惣記念美術館本(藤原範光筆)と京都国立博物館本(後鳥羽上皇筆)の熊野懐紙、文化庁西行法師行状絵詞(俵屋宗達模写本)、三井文庫の伊勢参詣曼荼羅、西行ゆかりの伊勢・安養寺跡出土遺物、新宮市阿須賀神社出土懸仏など。図録あり(64ページ、1728円)。
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