6月18日、世界遺産・熊野古道のシンボル的存在である、田辺市中辺路町近露・箸折峠に安置されている牛馬童子像の頭部が破壊されました。世界遺産を構成する資産に含まれている文化財です。
以下のような報道があります。
読売新聞、
朝日新聞、
毎日新聞、
紀伊民報。
牛馬童子像画像は、レプリカですがこちらにあります。→
和歌山県立博物館ニュース(6月19日記事)
明治時代に作られたもので、熊野詣でを行う花山法皇の姿と伝承されて、地元の方や古道を歩く人たちなど、多くの方々に愛されてきた石像です。切断された頭部はまだ見つかっていません。今日、田辺市職員を中心に100人規模での捜索が行われます。
熊野古道は、文化財や史跡だけでなく、その文化的景観も含めて世界遺産に登録されています。その文化的景観は、信仰の道としてだれもが歩くことができるという開放性によっても担保されているといえるでしょう。道を閉鎖したり、文化財を柵で囲ってしまうことだけが、文化の継承ではありません。それゆえにこそ、今回の愚挙は、大きな大きな問題を投げつけたものです。きわめて広大な範囲に及ぶ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」で、管理強化にも限界があります。モラルへの訴えや、文化財保存と継承の理念を地道に訴えかけるほか、特効薬はないのです。人心のすさみが、もの言わぬ文化財に向けられたことに悲しみを覚えています。
まずは切断された頭部が発見されますことを、期待します。
追記(6月23日)
6月24日、和歌山大学で下記の緊急アピールが開放講義として行われますのでお知らせします。
文化的景観=トータル空間主義の危機として受け止め和大では緊急集会をいたします。開放講義にいたしますので是非お越し下さい。
日時 6月24日(火)16時半?17時半
場所 和歌山大学教育学部棟(L203室)
演題 小関洋治客員教授 「牛馬童子破壊事件と世界遺産ー和大生の使命ー」(仮題)
主催 博物館実習委員会・紀州経済史文化史研究所(大学博物館HUB)
→
観仏三昧―仏像と文化財の情報ページ―
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