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東京国立博物館「鳥獣戯画 京都 高山寺の至宝」鑑賞記

東京国立博物館
 特別展 鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-
(4月28日~6月7日)

 国宝・鳥獣戯画の修理完成記念公開を軸に、栂尾高山寺の歴史的性格を示して、鳥獣戯画伝来の背景に迫る。なにより高山寺中興である、釈迦を思慕し、戒を護って厳密(華厳宗・密教)の研鑽に励み、菩提心の堅持と易行化による衆生の宗教的救済に努めた明恵上人の、思想と生涯を関東で紹介する初めての機会。前半では高山寺に所蔵される明恵上人樹上坐禅像(国宝)ほか各種肖像画、仏眼仏母像(国宝・高山寺)、仏涅槃図(重文・浄教寺)、華厳海会諸聖衆曼荼羅(重文・高山寺)、華厳海会善知識曼荼羅(重文・東大寺)、五聖曼荼羅(重文・高山寺)、華厳宗祖師絵伝(国宝・高山寺)と、明恵の信仰世界を明らかにする重要資料がずらり。
 後半は、鳥獣戯画(国宝・高山寺)の甲・乙・丙・丁巻をどっと展示。白描図像の十二神将図像(重文・醍醐寺)、薬師十二神将像(重文・仁和寺)、後期では将軍塚絵(重文・高山寺)なども展示して、鳥獣戯画の様式やモチーフへの理解を助ける。各巻の前には善男善女の行列が十重二十重。鳥獣戯画は、そのユニークな画風とモチーフによって人々を誘い(すなわち菩提心を起こし)、仏菩薩の荘厳な姿(と教え)へと導く宗教装置でもあることを、ミュージアムという「殿堂」に披瀝されたことで明らかになる。明恵上人の寺にあるべき法宝物だなあと、つくづく思う。
 図録あり(336ページ、2700円)。鳥獣戯画、華厳宗祖師絵伝はもとより、三国祖師影(大谷大学博物館)、先徳図像(重文、東博)、高僧像(重文・高山寺)等々が、全巻全図掲載されていることの貴重さ。資料を共有化するというミュージアムの役割は、こういうかたちでも果たされると思う。鑑賞後、当方も、リレートークで「故郷に残る明恵上人のおもかげ」と題して、明恵の故郷である紀州・有田川流域のゆかりの資料についてご紹介。いつか、また、和歌山でも明恵上人に関わる展示をしたいと思う(しかし体がいくつあっても足りない)。

特集 平成27年新指定 国宝・重要文化財
(4月21日~5月10日)

 恒例の新指定文化財の公開。国宝に指定替えされた虚空蔵菩薩立像(醍醐寺)、弥勒仏坐像(東大寺)、新指定の地蔵菩薩坐像(新町地蔵保存会)の9世紀彫像を堪能。熊本・荒茂毘沙門堂管理組合の二天王立像・毘沙門天立像は、平安時代後期の在銘彫像。静岡・岩水寺の地蔵菩薩立像像内納入品一括は、願文から同像が建保5年(1217)運覚作であることを示すもので、運慶配下の重要仏師運覚の作例がついに見つかった。今回は展示される指定物件も多く、展示室も広いところ。指定資料リストあり。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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