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金沢文庫「日向薬師」展、東京都庭園美術館「マスク」展鑑賞記

神奈川県立金沢文庫
 特別展 平成大修理記念 日向薬師 秘仏鉈彫本尊開帳
(4月24日~6月14日)

 本堂修復に合わせ、秘仏鉈彫本尊の薬師三尊像が出開帳。中尊は着衣部、脇侍は面部を含む全身に、概ね横方向の鑿目を表して仕上げる。中尊の台座框部にも整然と鑿目を揃えて(縦方向)荘厳していていることからも、鑿目が作者の意図的な技法であるのは間違いなく、かつての未完成品という評価から、現在は霊現付与のための表象方法との判断がなされているところ。造像時期は難問で、緊張を解いた姿勢は平安時代後期の様式ながら、唇を尖らせた風貌、太い耳輪や耳脚の形状、両脚部の厚み、鎬立つ翻波式衣紋と古様が残り、1000年前後とする今回の展示の見解は当面の落としどころ。ほか、近年再評価なされた平安時代後期の十二神将像も展示。地域の古刹の歴史を、仏像を核として叙述しようとする態度に共感する。本堂の修復が完成したら、現地を訪問して、2躯の丈六仏(鎌倉時代)や賓頭盧尊者像(鎌倉時代)も拝観したい。図録あり(64ページ)。

東京都庭園美術館
 フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展
(4月25日~6月30日)

 ケ・ブランリ美術館所蔵のアフリカ・オセアニア・アジアの仮面を、旧朝香宮邸内に展示。同館のアフリカ・オセアニアの仮面コレクションは、近代期におけるヨーロッパの人々の異文化へのまなざしと、それらを「収集」して「所有」した経緯から形成されており、現在では構築することが難しい貴重な資料群となっている。こうした仮面を、アール・デコ様式の旧朝香宮邸で展示するとなると、必然的にコレクション形成期における西洋-非西洋の非対称的なまなざしが投影されてしまうことを避けられない。例えば、「プリミティブ」な造形のアフリカの仮面の先に同様に並べられた日本の仮面に接した時の戸惑い(自らもまた収集の対象であることへの気づき)、どこにもヨーロッパの仮面が並んでいない不思議さ(収集の対象でない)、など。ただしかし、図録論考を見るとこうした点は十分に考慮されており、異文化の本質を展示を通じて敬意をもって伝えるという態度で現在的な課題へ対応している。コートジボワールのダン族やバウレ族の精霊仮面、ブルキナファソの動物の精霊仮面、パプアニューギニアのアベラム族の精霊仮面、ネパールのシャーマンの仮面など、早くに収集した仮面と、その研究史の一端を垣間見て学ぶ(感じる)ことが多い。図録あり(144ページ、2500円)。ミュージアムショップで販売していたアフリカの仮面のおみやげ品を、同行した子にねだられて購入。異文化への敬意を持って。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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