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有田市郷土資料館「ありだのみ仏たち-有田市指定文化財から-」鑑賞記

有田市郷土資料館
 高野山開創1200年記念特別展 ありだのみ仏たち-有田市指定文化財から-
(9月19日~11月1日) 

 9月26日、紀の国わかやま国体の開幕日。幸いなことに職場は動員がかからず、当方週休日。自館の特別展「弘法大師と高野参詣」と同会期で開催中の、有田市郷土資料館「ありだのみ仏たち」のご様子うかがいに行く。
 有田市内に所在する仏像、仏画、25件を一堂に集めるもので、旧正善寺(里自治会)の聖観音立像は平安時代後期に造られた足のすらりと長い等身大の像。同寺の不動明王立像も平安時代末~鎌倉時代前期(展示では室町時代とする)の等身大の像。どちらも康平五年(1062)銘を有する同寺大日如来坐像(未出陳)とともに伝来した像で、その歴史がほとんど分からない正善寺(もとは浜中荘金剛寺)の重要性がしのばれる。安養寺大日如来坐像は平安時代後期の洗練された作例で、腰帯表現などから奈良仏師の関与が想定される。仁平寺の聖観音立像も、平安時代後期ごろの等身大を超える大作。仏画では得生寺当麻曼荼羅は状態のよい鎌倉時代後期の作例、神光寺仏涅槃図は室町時代初期ごろの作で、元長保寺伝来資料。有田市域の仏像がまとまって展示されるのはちょうど20年ぶり(前回は和歌山県博「有田川下流域の仏像」)で、鑑賞しながら改めて有田川流域の高度な宗教文化の蓄積に思いをはせる。来週末に資料館で行われる担当講演会(演題「有田川下流域の仏像と地域史」)にむけて、新鮮な感動を得て帰る。図録あり(34ページ、500円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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