10月10日
島根県立古代出雲歴史博物館
企画展 百八十神坐す出雲-古代社会を支えた神祭り-
(10月9日~11月29日)
古代における神祀りの場と神祀りの諸相を、災害、水分、境界など自然環境との関わりから発生した神祀りと古代王権との関わりに注目して叙述。群馬県・宮田諏訪原遺跡、東京都・伊豆大島和泉浜遺跡、奈良県の大神神社や石上神宮、茨城県・鹿島神宮の境内、岡山県・大飛島祭祀遺跡、大阪府・神並・西ノ辻遺跡などなど、全国の神祀りに関する考古学的成果を集め、あわせて出雲地域における「百八十」の神社の数について追求する。島根県・青木遺跡出土品のうちの神像は10世紀後半と穏当な評価。滋賀県・塩津港遺跡出土品の神像も展示。図録あり(158ページ、1620円)。
島根県立石見美術館
企画展 祈りの仏像-石見の地より-
(9月19日~11月16日)
山陰地方(及び中国地方)の仏像を、中央や外国との関わりの歴史を軸にして多数集め、一堂に展観する。新出資料として注目の圓福寺(大田市)十一面観音立像は、カヤと報告される一材から彫出される像高42.1㎝の小像で、異国風(西域風)の細長い頭部、胸飾や石帯の細かな表現、素地仕上げとすることなど、請来檀像をもとにして写された奈良時代の代用檀像。寸胴の体型などは、同会場に出陳される山口県・神福寺十一面観音立像(唐時代、重文)にも似る。会場内を行き来して比較しながら鑑賞。9世紀の出雲市・万福寺四天王立像(重文)に対して、12世紀の益田市・萬福寺二天立像は冠飾や面貌表現などに似たところがあり、表現の影響関係がありそう。また、院豪作の松江市・浄音寺十一面観音菩薩立像(重文)とともに、江津市・清泰寺の文永7年(1270)院豪作の阿弥陀如来立像を並べて前像の製作時期を示唆し、大田市・福城寺の銅製阿弥陀如来坐像、益田市・教西寺阿弥陀如来立像、津和野町・永明寺の元応2年(1320)大日如来坐像といった鎌倉時代の新資料を紹介。正平12年(1357)銘を有する山口県・仏光寺文殊菩薩騎獅像、応安4年(1371)銘を有する益田市・医光寺の釈迦如来坐像など南北朝~室町時代の作例を紹介するのも貴重。外国との関係では、鳥取県・大山寺観音菩薩立像(重文・北宋時代)、江津市・福泉寺観音菩薩坐像(高麗時代)、出雲市・本願寺観音菩薩坐像(高麗寺代)などを集める。仏像と仏像の関係性へ目配りしながら、地域の地理的・歴史的特色を示唆していく展示手法に感銘し、たくさん学ぶ。図録あり(200ページ、2200円)。
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