Entries

奈良博「正倉院展」、京都府立山城郷土資料館「南山城の神社と祈り」、海住山寺文化財特別公開、観菩提寺秘仏開帳鑑賞記

奈良国立博物館
 第67回正倉院展
(10月24日~11月9日)

 恒例の正倉院展。伎楽面をじっくり。銀泥が塗られた力士の目と歯の、かつての輝きを想像する。聖武天皇遺愛の七条褐色紬袈裟は、金剛智三蔵所持品と伝わる。金剛智所持の伝を肯定的に捉える研究があり(児島大輔「金剛智の袈裟」『奈良美術研究』8、2009)、唐時代の(触れば穴があきそうな)軽やかな羅の袈裟が、そのまま健全に残る奇跡を目の当たりにし、心震える。図録あり(144ページ、1200円)。
 
京都府立山城郷土資料館
 特別展 南山城の神社と祈り
(10月10日~11月29日)

 南山城の神社にまつわる文化と文化財を紹介。神像は石清水八幡宮、松尾神社(木津川市)、旦椋神社(城陽市)から、小像も含め22体。神事の能に関わる資料として、方堅めの儀式に猿楽が出仕した初見資料である文永9年(1272)高神社流記、翁猿楽に関わりその楽頭職を有した長命家に関する資料、長命茂兵衛家伝来の三番叟面など興味深い資料多数。ほか西福寺(井手町)の神道灌頂関連資料など。図録あり(48ページ、400円)。

海住山寺
 海住山寺文化財特別公開
(10月31日~11月15日)

 木津川市2015秋の社寺秘宝・秘仏特別開扉事業に連動した特別公開。五重塔(国宝)初層内陣を拝観したのち、本堂で、本尊十一面観音立像(重文)、檀像の十一面観音立像(重文)、四天王立像(重文)のほか、法華経曼荼羅図(重文)、元時代の地蔵十王図、春日曼荼羅十六善神図などを間近に拝観。境内の高台から平城京を見晴るかす。寺宝図録『海住山寺の美術』(96ページ、1300円)入手。

観菩提寺(正月堂)
 三十三年に一度の公開 秘仏本尊十一面観世音像御開帳
(11月1日~11月8日)

 伊賀市島ヶ原の観菩提寺本尊ご開帳。周辺に広がる山村と寺院の景観に心洗われながら、善男善女が多数集まる本堂内陣拝観。本尊像は特殊な六臂十一面観音立像で、素木(檀色)仕上げとする。「森厳神秘にして威相に近く、偉丈夫の相をなし」(井上正「観菩提寺十一面観音立像について」『学叢』5、1983)た風貌に、安置され続けてきた中世の堂内で相まみえる喜びに、心震える(今日2度目)。9世紀の本像を始め、本尊左右の2躯の天部像(作風異なるがともに10c。奈良博だより95号収載の笠置町法明寺の天部立像とよく似る。)、後方右側の観音菩薩立像(12c)、十一面観音立像(11c)、左側の2躯の十一面観音立像(10~11c、12c)のほか、仁王門後方安置の二天立像(10~11c)と、重要な平安時代彫刻がずらり。結縁できて本当によかった。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://kanbutuzanmai.blog66.fc2.com/tb.php/704-3fecdf34

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

月別アーカイブ

ブログ内検索