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高槻市立しろあと歴史館「大阪の修験と西方浄土」・大山崎町歴史資料館「河陽離宮と水無瀬離宮」・八幡市立松花堂美術館「ようこそ、神と仏の男山へ」鑑賞記

11月15日
高槻市立しろあと歴史館
 特別展 大阪の修験と西方浄土-神峯・葛城山と日想観の山寺-
(10月3日~12月6日)

 修験と日想観を切り口に、大阪府下の山岳寺院の聖地性を、環境・縁起・仏像等を通じて紹介する。紹介寺院は、和泉・葛城山系では七宝瀧寺、交野山廃岩倉開元寺、河内往生院、北摂山系では神峯山寺、本山寺、安岡寺、霊山寺、金龍寺、安満山。神峯山寺聖観音立像(重要文化財)は平安時代、11c前半ごろの作例で、一具同作といってよいほど類似する滋賀県栗東市、金勝山麓・大野神社の十一面観音立像のパネルを並べる。山寺のネットワークと仏師の活動圏の広がりを示すものか、あるいは後世の移動か、興味深い。ほか、本山寺不動明王立像(平安末~鎌倉初)、愛宕念仏寺千観内供坐像(重要文化財)など。図録あり(80ページ、500円)。

大山崎町歴史資料館
 企画展 河陽離宮と水無瀬離宮
(10月24日~11月29日)

 大山崎に設けられた嵯峨天皇の河陽離宮、後鳥羽上皇の水無瀬離宮について、近年の考古学的成果を中心に紹介。水無瀬神宮の後鳥羽天皇像(重文)の原本展示は11月8日で終了しているが、同神宮所蔵の延応元年(1239)後鳥羽天皇宸翰御手印置文が展示。私の死後の救済を弔えという近臣藤原信成・親成への遺言が、手印により生々しく立ち上がる。ほか、大念寺阿弥陀如来立像納入品の種子月輪牒と未敷蓮華は、後鳥羽院皇子道覚法親王と証空の名があるもの。本体(未出陳)は他の納入品から仁治4年(1243)造立と想定される、真正極楽寺本尊像(平安時代)を模刻した像(『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代6』収載)。図録あり(33ページ、800円)。

八幡市立松花堂美術館
 特別展 ようこそ、神と仏の男山へ-石清水八幡宮太子堂の遺宝-
(11月7日~12月13日)

 かつて石清水八幡宮境内の太子堂に伝来した南無仏太子像ほかの重宝は、神仏分離の際に膳所藩士眞田武左衛門に譲られ、その後裔が継承し続け、現在は大津市の国分聖徳太子会が保存・顕彰している。それら文化財を近年の調査成果をもとにして展示公開する。南無仏太子(滋賀県指定文化財)は像内銘により元亨元年(1321)、仏師法眼宗圓の作と分かり、またこの年は聖徳太子七百回忌にあたり、石清水八幡宮の太子信仰の痕跡を捉える上で重要。ほか、江戸時代初期の多宝小塔とその像内安置小仏像、貞和3年(1347)奥書のある紺紙金字法華三部経など展示。
 関連資料として、石清水八幡宮所蔵の銀造童形倚像を展示。同像は近代以降は聖徳太子像とされるものの、尊名、製作時期に諸説あるが、若宮神像のもよう(福地佳代子「八幡若宮に対する一考察-石清水八幡宮所蔵の童形像を通じて-」『東北福祉大学研究紀要』32、2008年)。鎌倉後期、あるいは近代とされる製作時期は悩ましいが、平安時代末ごろでもありえるのではなかろうか。いずれにせよ興味深い作例。図録あり(44ページ、1200円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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