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埼玉県立歴史と民俗の博物館「慈光寺」、五島美術館 「一休」鑑賞記

埼玉県立歴史と民俗の博物館
 特別展 慈光寺-国宝 法華経一品経を守り伝える古刹-
(10月10日~11月23日)

 国宝法華経一品経全三十三巻の修理完成を記念し、所蔵文化財の悉皆的調査に基づいた最先端の慈光寺史を提示する。ずらりと並ぶ鎌倉時代を代表する装飾経である法華経が圧巻(前後期でおおよそ半数ずつ展示替え)であるが、そうした経典が収蔵され維持され伝来した場としての慈光寺の中世・近世を、資料を通じて少しでも解明しようとする意図が明確。平安時代後期の古様な形式を持つ観音菩薩・勢至菩薩坐像、鎌倉時代前期の宝冠阿弥陀如来坐像(以上2件は『国華』1401(2012年)に報告あり)、寛元3年(1245)「天台別院慈光寺」銘のある梵鐘(複製)や永仁3年(1295)「慈光寺聖僧大聖文殊」銘のある僧形坐像(複製)、徳治2年(1307)銘のある金銅密教法具(重文)など、中世前期の慈光寺の勢力の大きさを偲ばせる。ほか、貞観13年(871)書写の大般若経(重文)も展示。常設展示に復元されている高さ5mの慈光寺開山塔も拝観。すごいお寺だとしっかり理解する。図録あり(80ページ、800円)。

五島美術館
 特別展 一休-とんち小僧の正体-
(10月24日~12月6日)

 一休宗純(1394~1481)の頂相、墨蹟、師僧との関係、目にしていた典籍類をずらりとならべてその歴史的実像を提示する一方、近世~現代において構築された一休イメージの形成と展開の諸相を細かく披瀝することで、破格の禅僧の実像と虚像の交ざりあった魅力に迫る。少林寺の朱太刀の一休宗純像(享徳元年<1452>)、真珠庵の円相の一休宗純像(康正3年<1457>)、東博の半身の一休宗純像、酬恩庵の半跏の一休宗純像、正木美術館の一休宗純・森女像等々、一堂に並ぶことで得られる情報は多い。全ての賛などの文字情報を翻刻して提示するのも作品理解を大きく助ける。副題は柔らかいがとても硬派な展示。図録あり(232ページ、2500円)。
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大河内智之

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「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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