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大阪大学総合学術博物館「金銅仏きらきらし-いにしえの技にせまる-」鑑賞記

12月1日
大阪大学総合学術博物館
 企画展 金銅仏きらきらし-いにしえの技にせまる-
(10月24日~12月22日)
 平成25~28年度科研費基盤研究(A)「5~9世紀東アジアの金銅仏に関する日韓共同研究」(研究代表者藤岡穣)の研究成果報告展。蛍光X線を用いた金銅仏の成分分析により製作地(場合により製作時期)を判定するという、金銅仏研究の未来をがらりと変えうる最新の研究手法。実際に調査を行った東京藝術大学所蔵の金銅仏群(全29躯)を核に、大阪市立美術館、逸翁美術館に所蔵される中国・五胡十六国~明、朝鮮半島・三国~高麗、チベット、日本・飛鳥~鎌倉時代の金銅仏がずらりと並び壮観。最も重要な成果として、初公開の京都・某寺所蔵の如意輪観音半跏像(展示期間:12月1日~12月14日)は、像高50.4㎝と大型の作例で、髻頂部の宝珠や瓔珞根元の獣面、肩にかかる三束の輪状の垂髪、耳朶底部の切り込み表現、水平に重ねる髪際の毛筋、紐で吊り下げる着衣等々が、南朝及び百済の作例に類例が見られることを緻密に提示し、また錫が1割ほど含まれる成分も朝鮮半島の仏像の傾向と合致することから、朝鮮・三国時代(7c)と結論づけている。装飾性豊かで完成度の高い本像の出現は、朝鮮半島の金銅仏研究の上で、またそれとの影響関係によって考えられる日本古代彫刻史研究に影響を与えるものであり、今後無視できない重要資料といえる。同様に、パネル展示であるが兵庫県・慶雲寺の本尊如意輪観音半跏像像についても朝鮮・三国時代の制作と位置づける。従来、類似資料がなく判断が難しいため等閑視されていた個性的な金銅仏を、こうした萌芽的な最新の研究手法により果敢に評価しえたことは、同手法の今後の可能性を大きく広げるものといえる。鋳造方法を紹介する資料やパネルも親切で、鋳造資料の魅力を伝える好企画。図録として、出陳全作品を掲載した科研報告書(56ページ、無料)を配布。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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