遊行寺宝物館 特別展 国宝 一遍聖絵 (10月10日~12月14日)
神奈川県立歴史博物館 特別展 国宝 一遍聖絵 (11月21日~12月13日)
神奈川県立金沢文庫 特別展 国宝 一遍聖絵 (11月19日~12月13日)
遊行寺宝物館リニューアルを記念した、一遍聖絵全巻公開展。ただし単なるお祝いではなく、神奈川歴博、金沢文庫と連携することで展示面積を広げ、絵巻を長大に鑑賞する展示環境を整えるとともに、多くの研究者の知見を結集させることで一遍聖絵研究の到達点を引き上げ、それをただちに共有化して研究環境をも整えた一大プロジェクトであり、これからのミュージアムの理想的な連携のあり方を実現している。
絵巻物という資料の性質上、展示替え・巻き替えが多いものと思っていたが、遊行寺宝物館では巻1、神奈川歴博では巻4,5,6,10、金沢文庫では巻2,8を全巻公開するなど、制限を極力減らし、来館者の「見る」ことへの渇望にしっかりと寄り添っている姿勢も、開かれた公共の場としてのミュージアムにつきづきしい。
一気に十二巻を鑑賞することで眼が慣れ、各場面や詞書きの差異に気づくとともに、単体で鑑賞していると「名所図」的に捉えがちな諸国の聖地の連なりが、マジカルアイテムとしての縁起を形づくるための一種の作法(諸国を踏みしめ地固めをし祝福する)をあらわすようにも見えてくる。一遍の実像は、まさしくその生涯を叙述した縁起からもたやすくは見えてこないという事実を、しっかり確認する。図録は、3館統一の図録(232ページ、2000円)と、金沢文庫独自の図録(80ページ、1000円)の2種類あり。これは必携。
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