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京都国立博物館「さる」「獅子・狛犬」「十王」、京都文化博物館「大丹後展」、龍谷ミュージアム「アンコール・ワットへの道」鑑賞記

12月19日
京都国立博物館
 新春特集陳列 さるづくし-干支を愛でる-(12月15日~1月24日)
 特集陳列 獅子と狛犬 (12月15日~3月13日)
 名品ギャラリー 地蔵と十王像 (12月15日~3月21日)
 刀剣を楽しむ-名物刀を中心に- (12月15日~2月21日)

 京博収蔵品をフル活用した諸展示を堪能。「さるづくし」では壬生寺の壬生三面、「獅子と狛犬」では個人所蔵で東寺伝来の獅子・狛犬(9世紀)一対、「地蔵と十王像」では常念寺の富士山仏師珍慶作の十王・司命・司録・奪衣婆像を主体に鑑賞。「刀剣を楽しむ」は、朝一番から大行列。ただし2列目からの鑑賞は自由なので混乱なし。刀剣展のキラーコンテンツっぷりをようやく実見する(遅っ)。

京都文化博物館
 日本のふるさと 大丹後展
(12月5日~1月17日)

 丹後地方の古代から現代までの歴史と文化を、交流・伝説・霊地・生産の各章により紹介する。事業継続中の京丹後市史編纂の成果をベースに、京都府立大学教員が多数参画して学術面での信頼性を担保した真面目な展示で、いわば「(仮称)京丹後市立博物館」の通史展示のプロトタイプといったおもむき。第2部の「伝説」では、浦島太郎、羽衣伝説、大江山鬼退治、麻呂子親王伝承を伝える資料群を集め、清園寺縁起(清園寺・府指定)、等楽寺縁起(竹野神社)、松尾寺参詣曼荼羅(松尾寺、前期)、成相寺参詣曼荼羅(成相寺、後期)等の室町時代の縁起類が多く有益。仏像では成願寺薬師如来坐像(12c、府指定)を展示。同寺は麻呂子親王造像の七仏薬師安置の伝承を伴うが、同像は法界定印を結んで薬壺を執る特殊な図像の薬師如来。ほか、籠神社の鎌倉時代と室町時代の扁額、大宮売神社の鎌倉時代の扁額が並ぶのも迫力あり。展示の締めは丹後縮緬。図録あり(146ページ、1000円)。

龍谷ミュージアム
 アンコール・ワットへのみち-ほとけたちと神々のほほえみ-
(10月10日~12月20日)

 コレクター所蔵品によるヒンドゥーの神々や仏教の仏菩薩諸天等のアンコール彫像を、時代・地域の様式区分に基づいて系統的に展示する。比較作例としてタイ・ミャンマーの作例も取り上げ、東南アジア彫刻史研究の「王道的」な成果展といった内容。6~7cのインド彫像の強い影響のもと作られた古典的整斉ある彫像が、強い規範性を持ちながら官能性を増やし、写実味あるバイヨン様式へと展開する経過を学ぶ。会場に整然と林立する100㎝内外に大きさがそろった彫像群は、まさしく美術史的まなざしによる体系だった収集(コレクション)の賜物であるが、また必然的に、その行為の背景に潜むさまざまな暴力性(西洋による非対称的な調査と接収、クメール・ルージュによる非人間的な暴力統治、その後の混乱期の非倫理的な盗掘犯罪)の歴史をもまとっていることを、思わずにいられない。会場最後のパネルに、これら資料群を通じての多様性へのまなざしと世界平和への祈念が表明されており、神と仏の微笑みにようやく救われた気持ちになる。図録あり(192ページ、2300円)。今後、姫路市書写の里・名古屋市博・東北歴博に巡回。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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