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大阪市立美術館「王羲之から空海へ」、大阪歴史博物館「平成24・25・26年度大阪市の新指定文化財」「近代大阪職人図鑑」鑑賞記

5月21日
大阪市立美術館
 特別展 王羲之から空海へ-日中の名筆 漢字とかなの競演-
(4月12日~5月22日)

 書聖王羲之(303~361)の書法(王法)の受容と展開を中心とした日中書道史展示。国内の諸家・名刹・諸機関から優品をずらり集め、台湾の故宮博物院・何創時書法藝術基金会からも特別出品。中国書道史は王羲之の十七帖、楽毅論、蘭亭序、集王聖教序が並んだ後に、王献子・智永・歐陽詢・チョ遂良・顔真卿(以上隋~唐代)、蔡襄・蘇軾・黄庭堅・米フツ(以上宋代)以下、元・明・清の書家の作品がずらり。日本書道史は、奈良~平安期の写経から、空海・小野道風・藤原佐理・藤原行成以下、慈雲・白隠・良寛まで幅広く展示。圧巻。図録あり(B4判・360ページ・5000円)。

大阪歴史博物館
 特集展示 平成24・25・26年度大阪市の新指定文化財
(4月13日~6月13日)

 近年の大阪市指定文化財を、実物とパネルで紹介。今宮戎神社の大型の神像2躯は、1躯が烏帽子・束帯姿の趺坐像、もう1躯が烏帽子・狩衣姿で袖を肩までまくり、片足を踏み下げる像。両像作風が通じ、鎌倉時代後期の一具の作例。現状、前者が戎神、後者が三郎殿と称されているが、後者もまた釣り竿・鯛を持つよく知られたエビス図像に近いと言える。注目されるのは足を踏み下げたエビス像の面貌で、笑みを浮かべた眼をくっきり二重に表し、開口して上下の歯を見せ、頬にはえくぼを表している。同様の表情は鎌倉期女神像にも見られ、のちに女面の表現に引き継がれる。笑相の神の、定型的な表現である可能性がある。ほか、源聖寺地蔵菩薩立像は鎌倉時代の作例とのことだが、内刳りのない一木造で、平安時代の体型や衣紋表現。面貌表現がライティングの加減で今ひとつ分からず消化不良。リーフレットあり(8ページ)。

 開館15周年記念特別展 近代大阪職人図鑑-ものづくりのものがたり-
(4月29日~6月20日)

 幕末から近代の大阪で、時代の変化に翻弄されつつ活動しながらも、アカデミックにおける評価の狭間にあって長く歴史の中に埋もれていた職人・工芸家(アルチザン)について、大阪歴史博物館の長年の研究と再評価によって見出された作品群(根付・人形・刀剣・刀装具・漆器・竹細工・木製自在置物・銅器・陶器等々)によって紹介する。山﨑朝雲・松本喜三郎・安本亀八・逸見東洋・月山貞一・池田隆雄・後藤一乗・吉田至永・村上盛之・田辺竹雲斎・前田竹房斎・穐山竹林斎・正阿弥勝義・川島織物・日本蒔絵合資会社・高尾銅器・藪明山・三砂良哉・三好木屑等々…。必見。図録あり(152ページ、2700円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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