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三井記念美術館「松島瑞巌寺と伊達政宗」・東博「平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」鑑賞記

9月16日
三井記念美術館
 特別展 松島瑞巌寺と伊達政宗
(9月10日~11月13日)

 瑞巌寺本堂修理完成・伊達政宗生誕450年を記念し、瑞巌寺の歴史と、その外護者である伊達政宗を紹介。東日本大震災復興祈念として五大堂本尊の秘仏五大明王像(重文)が出開帳。平安時代中期(展示では10c後半と評価)に遡る五尊が完存する稀少事例。列弁の付く胸飾や腕釧は曼荼羅図像を元にするとみられるが、他の飾りがなくシンプルで、また不動明王像だけ随分列弁が長く、独自の展開を遂げたもののよう。裙の翻波の衣紋も古い形式ながら彫りは浅くなって、地域様式の展開事例として興味深い。ほか瑞巌寺本堂彫刻欄間(国宝)は慶長14年(1609)、左甚五郎のモデルとされ根来大工刑部左衛門国次の作。根来寺の工人の足跡を感慨深く眺める。伊達政宗甲冑倚像(瑞巌寺)、伊達政宗所用黒漆五枚胴具足(仙台市博)のほか、新出の伊達政宗筆梅小禽図など、その文芸の才に注目して資料を集める。図録あり(158ページ、2300円)。

東京国立博物館
 特別展 平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち-
(9月13日~12月11日)

 平成30年(2018)の大開帳に向けた伽藍整備による本堂・収蔵庫の改修に伴う、本尊秘仏十一面観音坐像を含む仏像群の出開帳。台座・光背を含む総高531.3㎝の大観音像(像高312.0㎝)は10c半ばの造像と位置づけ、展示室中央に鎮座。見上げる視点であるが、側面もしっかり鑑賞でき有益。平安後期風の立派な台座は明治45年(1912)の補作とのこと。同寺の平安時代彫像19躯は本尊をぐるり取り囲む。定朝様式に基づく薬師如来坐像、地蔵菩薩坐像(文治3年〈1187〉銘)のほか、本尊像と近い時期、あるいは作風の影響を受けた作例(10c~11c)と、やや降った時期の一群の作例(12c)があることを示し、そこに見える特徴的な様式を「甲賀様式(櫟野寺様式)」の用語を用いて位置づけ、作例間の関係性を明確にする。そのように地域様式を積極的に評価する以上、一部に「鄙びた」という作風評価が混じったのは残念。図録あり(100ページ、1800円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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