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岡山県立博物館「カミとほとけの姿」、岡山県立美術館「文人として生きる-浦上玉堂・春琴・秋琴父子の芸術-」鑑賞記

9月24日
岡山県立博物館
 特別展 カミとほとけの姿-岡山の信仰文化とその背景-
(9月9日~10月16日)

 信仰の所産としてのカミ・ほとけのかたちの様々を、岡山県内の仏像・神像・仏画を集めて提示。展示の核となる勇山寺不動明王二童子像は、中尊の像高183.5㎝を計る巨大な10世紀の作例。中尊はケヤキの大木から頭体幹部を彫出し、手首まで一材製とする屈臂する両腕も木口面を体部材と合わせ、像全体があたかも一本の木のように仕上げる。等身大の両脇侍像も両腕を含む全身を一材製としていて、材料となった木に対する神性(聖性)が内在することをうかがえる。風貌は正統な密教図像に基づきつつ、その造形性や信仰のあり方には神仏の境をまたいで行き来するマージナルな要素があることをうかがえる。神仏習合を背景にした密教尊像受容のあり方の、一つの象徴的なかたちかもしれない。ほか、安養寺如来立像は従来より白鳳仏としての評価と中世の模古作としての評価があったが、蛍光X線による組成分析の結果は白鳳期のものと見なしうると判明。重要な成果。明王寺観音菩薩立像はカヤと見られる一材から精緻に刻出された等身大の檀像様彫像。豪華な冠飾、複雑な衣の重なり、立体的に翻る裙裾、肉身の柔らかな質感に優れる9世紀の作例。見惚れる。妙圀寺釈迦如来坐像は延文3年(1358)康俊作の銘を有する、南北朝時代を代表する重要な基準作例。宇南寺男神坐像は、怒りを溜めた目とへしめた口で威相を示しつつ、首を前に突き出す姿勢によって老相をあらわした作例で、髭をたくわえない。52.2㎝と像高も大きく注目される。境内に八幡神社があったもようであるが(美甘〈御鴨〉神社に合祀)、八幡神図像とは整合せず。興味深い作例ばかりで、岡山の宗教美術の多様性と、地域的な特質と相まった魅力を堪能。展覧会に結実させた学芸員はじめ関係諸氏のご苦労に頭が下がる。図録あり(128ページ、1300円)。

岡山県立美術館
 特別展 文人として生きる-浦上玉堂・春琴・秋琴父子の芸術-
(9月23日~10月30日)

 同館で10年前に開催した「浦上玉堂」展ののち見出された玉堂の新出作品多数とともに、玉堂子春琴、秋琴の作品を一堂に集めて展観する。玉堂自作の琴などその所持品とともに、一晴一雨図(重文)、煙霞帖(重文)など大小さまざまな山水の作品がずらり。門外漢ながら、幽谷訪隠図(NO.81)、山翁嘯咏図(NO.91、重美)の山水世界にぐいっと引き込まれてしばし見入る。あー、こんなとこに住みたいと、玉堂の理想世界に共感する(共感させられる、か)。器用にいろいろな絵を描く春琴、晩年になってから絵を描いた秋琴の作品もずらりと並べながら、それら子の文人的特質を通じて、玉堂の孤高の文人性を逆照射する。大部の図録あり(372ページ、2500円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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