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鹿児島県立歴史資料センター黎明館「八幡神の遺宝」ほか鑑賞記

 秋晴れの休日。黎明館の八幡神展の会期終了が近づいてきたので、鹿児島私的調査旅行を決行。ピーチの関空-鹿児島便が安く大助かり。

鹿児島神宮
 鹿児島入りして、最初に大隅国正八幡宮にご参拝。本殿は宝暦6年(1756)島津重豪再建で県指定文化財。木村探元筆の障壁画あり。三ツ石友三郎『鹿児島神宮史』(84頁、600円)を購入。

松下美術館
 まずはお願いしていた所蔵資料の調査(ありがとうございましたm(_ _)m)。その後、広い敷地内(福山病院内)に点在する6つの展示施設を一部見学。初代理事長松下兼知が収集したさまざまなジャンルの作品を公開。1号館はモネ・クールベ・ボナール・ピカソなどの絵画作品がメインであるが、考古資料、宗教美術関係の収集品もあわせて多数展示。懸仏、鏡像、神像など伝来不詳のものが多いものの、中世資料を含む興味深い資料群。5号館は神楽面・神事面・懸面など、九州地方の民俗仮面の大コレクションのうちの一部を公開。旧所蔵先から流出した九州ゆかりの資料が、このように地域の中で収集され保持されている意義は大きい。

日光神社
 曽於市財部町の日光神社参拝。天照皇太神、賀茂神を祭神とし、中世後期以降は蛭牟田氏が神官を務めた。近年、和歌山県博で寄贈を受けた享祿3年(1530)銘の若い女面について、墨書を検討したところ当社が元の伝来地と判明(拙稿「乾武俊氏の収集仮面について」『和歌山県立博物館研究紀要』20、2014)。遅ればせながら現地を訪問して、境内の様子を把握しておく。

鹿屋航空基地史料館
 海上自衛隊鹿屋航空基地に附属する施設。敷地内に多数の実機が並ぶ。展示施設には、第二次世界大戦末期、特別攻撃隊(特攻)の中心的な出撃地であった同基地にまつわる資料群など。

鹿児島県歴史資料センター黎明館
 企画特別展 八幡神の遺宝-南九州の八幡信仰-
(9月29日~11月6日)

 鹿屋市から桜島を通ってフェリーで鹿児島市街へ入り、閉館1時間前に滑り込みセーフ。南九州の八幡神社の悉皆的な調査に基づいた八幡信仰展。神像では大分・八幡奈多宮の八幡三神坐像(重文)、石清水八幡宮の童形神坐像(2躯、重文)を核として、悉皆調査で把握された室町~江戸時代の資料を紹介。鹿児島・松山神社の男女神像12躯は、九州で一定の作例分布がある体部を柱状とするこけしのような形状の神像群。もっとも古様な男女神像(展示では14~15cとする)の首に藁紐が巻き付けられているのは、別に着衣をまとっていたことを示す可能性があり極めて貴重。江戸時代の神像を複数公開するのも、作風変遷を把握する上で参考になる。鹿児島・箱崎八幡神社の四方荒神面5面は同社の神楽で現役で用いられているものであるが、室町時代、15~16cにさかのぼる魅力的で優れた作行きの荒神面。宮崎・生目神社の宝治二年銘神面、天文五年銘神面は巨大な大人人形の面部に取り付けられたものと評価する。絵画では大分・柞原八幡宮の土佐光茂筆由原八幡宮縁起絵巻(県指定)、福岡・玉垂宮の玉垂宮縁起絵(重文)、中世の古文書も多数展示。図録あり(200ページ、2000円)。論考6篇を載せ、主要参考文献リストと合わせ、九州八幡信仰史研究の最先端を示す研究書としても有益。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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