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滋賀県立近代美術館「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」、大津市歴史博物館「大津の浄土宗寺院 新知恩院と乗念寺」鑑賞記

11月5日、早朝出立して大津市へ。
滋賀県立近代美術館
 つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-
(10月8日~11月23日)

 平成32年(2020)に県立近代美術館に引き継がれる予定の琵琶湖文化館収蔵品を通じて、滋賀県の宗教美術・近世美術の精華を示すとともに、琵琶湖文化館(及び学芸員)が果たしてきた資料保存と学術面での大きな貢献を提示する。琵琶湖文化館の休館を巡る動勢については、私自身も2008年からしばらく定点観測を行ったが(「観仏三昧的生活」2012年4月20日記事「琵琶湖文化館の機能再生への道筋」)、本展においては、滋賀県の文化財保存の核として活動してきた文化館の歴史の共有化を図り、新生美術館がその機能を確かに引き継いで資料を未来へとつなげていくことへの決意表明がなされた。展示のあいさつ文に「新たな美術館がこれを確実に受け継ぐ」とあり、これを言い切るための関係者のこれまでのさまざまなご苦労も推し量られる。県民、文化財所蔵者、全国の琵琶湖文化館ファンへの明確なメッセージに接し、少し安心する。
 子連れで鑑賞し、あれこれ説明していてもゆるされる雰囲気であったこともうれしい。アール・ブリュットを一つの柱とする新生美術館においては、多様性への配慮、喜びへの共感、そして施設と来館者、あるいは来館者どうしの寛容性も大切な要素であると思う。人も文化財も居心地のよい新美術館となりますように。図録あり(152ページ、2000円)。

大津市歴史博物館
 大津の浄土宗寺院 新知恩院と乗念寺
(10月15日~11月27日)

 大津市内、新知恩院、乗念寺の浄土宗寺院2か寺の悉皆的な調査に基づき把握された文化財の様々を紹介。展示は各寺院ごとに分け、あたかも新知恩院展と乗念寺展の2本立てという体をとり、図録も同様に、判型を小さくした『大津の浄土宗寺院 新知恩院』(64ページ、700円)、『大津の浄土宗寺院 乗念寺』(64ページ、700円)の2冊を別々に作成。なるほどーと、アイデアに唸る。新知恩院の新出の法然上人立像(鎌倉時代)は画像を忠実に立体化した初期作例、乗念寺の阿弥陀如来立像(鎌倉時代)は仏足文を有し、台座から出た木棒で立ち、歯吹きとしない作例。新資料の蓄積が着実に成されていること、かつその情報の共有化がいち早く成されること、さらにその内容が高度な水準を維持されていること。地域博物館はかくあるべしという理想形。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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