1月22日、調べもののために京都府立図書館を利用することにし、なんとしても行っておかねばならない京文博・京大博の展示を鑑賞。
京都文化博物館「日本の表装-掛軸の歴史と装い-」(12月17日~2月19日)
京都大学総合博物館「日本の表装-紙と絹の文化を支える-」(1月11日~2月12日) 表装の歴史とその技術的工夫、芸術的洗練、宗教的機能、伝来史(修復の履歴)のあり方を、京文博と京大博の2会場のそれぞれで特色を打ち出して紹介する、意欲的な展示。
京都文化博物館では、絵画や文書を飾り荘厳する役割を果たす表装について、その織りなす美のかたちと宗教的機能に着目。描表装(かきびょうそう)の諸相、納入品・霊験仏としての掛軸、祖師や故人ゆかりの裂を用いた表装、贅を凝らした東山表装、茶掛、文人表装、趣向を凝らした工芸品的掛け軸などなど、表装という表象を通じた日本文化史を豊かに、新鮮に叙述する。
京都大学総合博物館では、絵画や文書を補強することで使用・保管を容易にする表装の機能について、現在の修理における修理理念と使用する材料や補修技術の工夫と、過去の修理にみられる負の要素(膏薬貼り、裏彩色の色抜け、補修絹の本紙からの切断・転用、相剥ぎ)を対比的に示しながら、綿々と続けられてきた史料の整理と修理の歴史の蓄積を、堅実に叙述する。
両館の展示で共通の図録(168ページ、1944円)あり。共通とはいっても、京文博の展示図録が右開きに111ページ、京大博の展示図録が左開きに56ページで合冊されている体裁で、ナイスアイデア。出陳全資料とともに、掲載される諸論稿も充実しており、表装文化の基礎~応用をカバーしていて有益。発行は京大博のミュージアムショップを運営する企画会社で、恐らく担当者がいろいろ立ち回られて実現したものであろう。展示みられずとも買って支えるべし。
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