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奈良国立博物館特別展「快慶-日本人を魅了したほとけのかたち-」鑑賞記

4月8日
奈良国立博物館
 特別展 快慶-日本人を魅了したほとけのかたち-
(4月8日~6月4日)

 鎌倉時代を代表する天才仏師「巧匠」「アン阿弥陀仏」快慶の作例を過去最大の規模で一堂に集め、快慶が生きた時代とその造像活動を重ねて浮かび上がらせつつ、初期から晩年までの作風の変遷をたどる。端正で華麗なその像容の魅力のみならず、康慶一門に属しつつも、後白河院周辺や重源との間に特別なつながりを有し、敬虔な信仰心に基づく独自の造像活動をなしえた快慶その人の魅力にも迫る。東大寺阿弥陀如来立像や僧形八幡神坐像、金剛峯寺四天王立像などどれをとっても重要な在銘作例ばかりであるが、ボストン美術館弥勒菩薩立像、キンベル美術館釈迦如来立像、メトロポリタン美術館地蔵菩薩立像・不動明王坐像の4躯の在外作例も請来し、東大寺西大門勅額の八天王像を分離して鑑賞を容易にするなど、快慶様式の把握と理解を大きく助ける画期的な展示。図録(265ページ、2300円)には未出陳の快慶作例一覧、快慶作例の銘記一覧(未出陳品含む)、文様集成、X線透過画像、そして膨大な参考文献が掲載され、今後の快慶研究の上における基礎資料となる重要な成果物。
 会期中、遣迎院阿弥陀如来立像(4/11~)、醍醐寺弥勒菩薩坐像(4/25~)、西方院阿弥陀如来立像(4/25~)、藤田美術館地蔵菩薩立像・阿弥陀如来立像(5/16~)が続々と合流。何度も通わねばならぬ。

安倍文殊院
 快慶展を見て外に出ると雨が降りそうで、傘がないので東大寺南大門はあきらめて急ぎ車に戻り、安倍文殊院へ向かう。巨大な文殊菩薩及び侍者像を拝観。建仁3年(1203)10月3日に南大門金剛力士像の開眼供養が行われた5日後、10月8日に本像頭内に重源・同朋衆・快慶の名が記され、11月30日には東大寺総供養が行われている。疾走するように続く大事業の中、重源の文殊信仰に基づいて行われた本像の造像は、東大寺復興事業と一連のものであったと提起されている(谷口耕生「重源の文殊信仰と東大寺復興」、奈良博『大勧進重源』図録、2006年)。実際の群像の完成は承久2年(1220)までかかっているが、面貌表現は建仁年間のもので、中尊の木作りは総供養までには随分進んでいたのであろう。五台山文殊の宋仏画を元に、破綻なく立体化して細部まで洗練された大迫力の姿に、快慶とその配下の集団の練度の高さを見る。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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