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東博「新指定国宝・重要文化財」「茶の湯」、サントリー美「絵巻マニア列伝」、三井記念美「奈良 西大寺展」など鑑賞記

東京国立博物館
 平成29年新指定国宝・重要文化財
(4月18日~5月7日)

 恒例、新指定国宝・重文お披露目展示。国宝となった深大寺釈迦如来倚像、中尊寺の仏像と共通する作風の宮城・お薬師様文化財保存会千手観音坐像(脇手も良好に残る)、脇侍が跪坐して幡を執る来迎形の廬山寺阿弥陀如来及び両脇侍坐像(指定では13世紀初めと時期限定)、平安時代後期のまとまった神像群である南宮神社神像・随身立像をしっかり鑑賞。

 特集 幕府祈願所 霊雲寺の名宝
(4月25日~6月4日)

 梵字悉曇の碩学として著名な浄厳を開基とする霊雲寺伝来資料を展示。弥勒曼荼羅図(重文)、諸尊集会図(重文)、日吉山王本地仏曼荼羅図(重文)、十六羅漢図(重文)、浄厳の解釈による独自の両界曼荼羅図など仏画の優品ずらり。リーフレットあり(8ページ)。

 特別展 茶の湯
(4月11日~6月4日)

 茶の湯を巡る文化や美術を通史的に紹介。冒頭から牧谿筆観音猿鶴図(大徳寺)、稲葉天目(静嘉堂文庫美術館)、油滴天目(大阪市立東洋陶磁美術館)、青磁浮牡丹文花瓶(アルカンシェール美術財団)等々が並ぶ豪華さ。選りすぐりの名物や優品を、大盛況で十重二十重の頭越しにちらりちらりと鑑賞。図録(430ページ、2800円)で勉強しよう。

びわ湖長浜KANNON HOUSE
 長浜市 長浜城歴史博物館 聖観音菩薩立像
(3月14日~5月21日)

 もと長濱八幡宮神宮寺・新放生寺の別院妙覚院に安置され、のち北門前観音講に伝わり、現在は長浜城歴史博物館の所蔵となる10c末~11c初の観音像を出開帳。裾部はかつて朽損したようで脛から下は補材となっているが、背面に正徳元年(1711)の修理銘があり、先の伝来も伝える。仏像の伝来把握の上で、修理銘はとても重要。

サントリー美術館
 六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝
(3月29日~5月14日)

 優れた絵巻の数々を、後白河院、花園院、後崇光院・後花園院、三条西実隆、足利将軍家、松平定信と、それを享受し作製させた熱烈な愛好者に着目する視点のもと、集約する。またそうした愛好者の絵巻を巡る動向を、数々の古記録、日記も徹底して集めて作品の歴史的位置を明確にしており、タイトルのキャッチーさに比して、美術史の論文を懇切に展示化したとも言うべき、正統派「THE 美術史」展示。病草紙断簡、春日権現験記絵、石山寺縁起絵巻、矢田地蔵縁起絵巻、絵師草紙、彦火々出見尊絵巻、玄奘三蔵絵、福富草紙、芦引絵、當麻寺縁起絵巻、桑実寺縁起絵巻、譽田宗廟縁起絵巻、法然上人絵伝…、と次々に顕れ、繰り広げられる絵巻に驚き拝み見るその心持ちは、まさにかつての愛好者たちとも重なるよう。図録あり(246ページ、2600円)。

三井記念美術館
 創建1250年記念 奈良 西大寺展-叡尊と一門の名宝-
(4月15日~6月11日)

 西大寺と真言律宗の名宝の出開帳展。展示室の構造上、全彫刻作品が間近に迫り、興正菩薩坐像、愛染明王坐像、文殊菩薩・善財童子・最勝老人像、大黒天立像と善派仏師の作例を堪能。浄瑠璃寺・岩船寺・元興寺・宝山寺・称名寺・極楽寺など真言律宗寺院の文化財も集める。三井記念美術館・あべのハルカス美術館・山口県立美術館を巡回。図録あり(288ページ、2700円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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