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国立歴史民俗博物館「URUSHIふしぎ物語」、サントリー美術館「神の宝の玉手箱」鑑賞記

7月15日、歴博とサントリー美を回って、漆まみれ。

国立歴史民俗博物館
 企画展示 URUSHIふしぎ物語-人と漆の12000年史-
(7月11日~9月3日)

 日本列島における漆使用の歴史と文化の諸相を、考古・美術・民俗・歴史に関する多数の資料をもとに「ウルシと漆」「漆とてわざ」「漆とくらし」「漆のちから」「漆はうごく」「これからの漆」の章立てで叙述する。展示室冒頭5メートルに詰め込まれた、自然科学の分野におけるウルシ研究の最前線、放射性炭素年代測定で年代の把握された漆を使用(あるいは付着)した重要資料の数々、そして浄法寺町の漆掻きの紹介映像で30分費やす。施工用具と技術の歴史的諸相、加飾技術のさまざま、漆とともにあった暮らしの歴史・民俗、外国へ輸出される漆器、琉球漆器からアイヌにおける威信財としての漆器、近代の漆器、最新の漆施工技術など、歴博らしい視野の広い内容。人文科学・自然科学の融合により行われた展示型共同研究「学際的研究による漆文化史の新構築」(平成25~27年度)の成果展。加飾技法の説明に、何気なく東博片輪車蒔絵螺鈿手箱(国宝・前期)や根津美術館秋野蒔絵手箱(重文)が並ぶ贅沢(後期は根津美宝相華平文袈裟箱、奈良博蓮唐草蒔絵経箱)。図録あり(300ページ、2500円)。

 特集展示 楽器と漆
(7月11日~ 9月3日)

 URUSHI展にあわせて漆工の楽器を集めて展示。紀州藩第十代藩主徳川治宝収集の楽器コレクションから笙や篳篥、大阪麦酒会社創業者生田秀の能楽コレクションから鼓胴をどっと展示。

サントリー美術館
 国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》修理後初公開 神の宝の玉手箱
(5月31日~7月17日)

 修理完成した国宝・浮線綾螺鈿蒔絵手箱を軸点として、手箱の歴史や意匠の意味を実資料をもとに叙述しながら、「特別な手箱」(玉手箱)の存在した場を浮かび上がらせる。鎌倉時代の手箱として東博片輪車蒔絵螺鈿手箱(国宝)、出雲大社秋野鹿蒔絵手箱(国宝)が並ぶほか、明治から現代にかけて制作された絢爛豪華な手箱の優品の模造(どれも優れたできばえ)が並ぶさまは、玉手箱イメージを的確に伝えるもので展示効果が高い。化粧道具と呪術という観点から三重・四天王寺の薬師如来坐像および納入品(重文・承保4年〔1077〕)を、神の調度という観点から熊野速玉大社と熱田神宮の古神宝を選択して提示して、マジカルアイテムとしての玉手箱(日本民藝館の浦島絵巻も効いている)の意味をクローズアップする手法は挑戦的。毎度のことながら洗練された展示空間作りに感心。図録あり(208ページ、2500円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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