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黎明館「かごしまの仏たち」、九博「六郷満山展」「新・桃山展」鑑賞記

11月1日、代休とって、鹿児島・福岡弾丸ツアー。

鹿児島県歴史史料センター黎明館
 企画特別展 かごしまの仏たち―守り伝える祈りの造形―
(9月28日~11月5日)

 廃仏毀釈により大きなダメージを受けながらも、地域の中で守り継がれてきた鹿児島県内の仏像を一所に集めて紹介する。湧水町二渡自治会菩薩半跏像(県指定)は平安時代後期の片足を垂らした菩薩像として貴重な事例。薩摩川内市教育委員会保管の阿弥陀三尊像は鎌倉時代前期ごろの新資料。仏師快成工房作との評価。弘治3年(1557)に深賢快重作の姶良市蔵の釈迦如来坐像や、永正3年(1506)快扶作の地蔵菩薩立像・毘沙門天立像・多聞天立像は、室町時代の在銘の大作。快扶の作例は正面観ではまとまりよいが、側面では立体のつながりに破綻が生じていて、伝統的な仏師集団とは一線を画して村落の需要に応じた造仏僧か。興味深い事例。霧島市松下美術館の漆箔仕上げの男神像や和式の鎧を纏った男神像は、伝来不詳ながら神像研究上注目すべき作例。同館には去年個人的に調査でうかがったが、コレクションにはまだまだ興味深い作例あり。一部でも紹介されてうれしい。展示の最後は新納忠之介関連資料で、鹿児島市立美術館の金剛峯寺八大童子像頭部石膏型などのコレクションを展示。写真パネルも多数用意し、飛鳥時代から近代までの鹿児島県宗教彫刻史を一望する極めて貴重な機会。図録あり(150ページ、1700円)。


九州国立博物館
 大分県国東宇佐 六郷満山展-神と仏と鬼の郷-
(9月13日~11月5日)

 六郷満山開山1300年記念として、大分県六郷満山周辺寺社に伝わる仏像・神像を中心とした文化財を集め、その特徴的な信仰の様相を紹介する。天福寺奥院の多数の仏像群の中から奈良時代造像の可能性のある如来立像と菩薩立像、富貴寺の阿弥陀三尊像、真木大堂不動三尊のうち両脇侍立像、瑠璃光寺阿弥陀如来立像、もと小両子岩屋安置の阿弥陀如来立像、無動寺薬師如来坐像と大きな仏像が文化交流展の展示室のそこかしこに林立。八幡奈多宮の神像群や応保2年(1162)陣道面、富貴寺の久安3年(1147)銘追儺面や菩薩面も仮面研究上、重要な資料。図録あり(112ページ、1500円)。


 特別展 新・桃山展-大航海時代の日本美術-
(10月14日~11月26日)

 桃山時代美術史を、信長・秀吉・家康の治世における諸外国との政治・文化・経済の交流史という観点から構成して作品を集める。東大史料編纂所倭寇図巻、神戸市博聖フランシスコ・ザビエル像、栖雲寺十字架奉持マニ像、三井記念美術館聚楽第図屏風、宮内庁三の丸尚蔵館唐獅子図屏風(狩野永徳)、南蛮人渡来図屏風、高台寺聖母マリア像刺繍壁掛、京都大学総合博物館マリア十五玄義図、メキシコ・ソウマヤ美術館大洪水図屏風、等々、重要作例がてんこ盛り。日本の屏風が直接影響を与えて東南アジアや南アメリカで作られたBIONBOの日本国内での公開が目玉。図録あり(216ページ、2200円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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