Entries

国立能楽堂「黒川能「鐘巻」」「野崎家能楽コレクション」、東博「運慶」「室町時代のやまと絵」鑑賞記

11月11日、黒川能鑑賞のため日帰りで東京へ。
東京国立博物館
 特別展 運慶
(9月26日~11月26日)

 2回目。長岳寺阿弥陀三尊像のうち中尊と観音像が退き、勢至菩薩像が居残り。代わって瑞林寺地蔵菩薩坐像がお出まし。正面は十重二十重の人垣であるので、横に回って長岳寺像と瑞林寺像の側面観を比較。中金堂四天王像(元南円堂安置)も見納め。これとの比較で検証した東大寺持国天像についての拙稿はすっかり埋没。書いた本人が15年放置すればそりゃそうなる。そろそろ再始動。

特集 室町時代のやまと絵-絵師と作品-
(10月24日~12月3日)

 室町時代における絵画のジャンルとしての「やまと絵」に注目して、東博収蔵の優品を並べる。伝土佐光重筆浜松図屏風、清凉寺融通念仏縁起絵巻、伝土佐光信筆桃井直詮など。図録あり(72ページ、1000円)。所収の土屋貴裕「室町時代のやまと絵をめぐる問題」における「やまと絵とは何か」という問いと答えの思考の往還が興味深い。言葉にした途端につるりと逃げ出す感覚。

国立能楽堂資料展示室
 特別展 備前池田家伝来 野﨑家能楽コレクション
(10月4日~12月15日)

 岡山県・野﨑家塩業歴史館に収蔵される、備前池田家伝来能資料を公開。大正期の売り立て資料を、池田家との深い関わりのなかで野﨑家が入手、秘蔵してきたもの。近世の大名面の優品を壁一面にずらりと並べて圧巻。小獅子(悪鬼)の作者「越前国/川瀬勝三郎/光廣(花押)」銘は、越前出目家初代の可能性もあるが不明。ほか天下一友閑の作面も多数。能装束では、ちょうど上演される「鐘巻」に合わせて(多分)白地鱗文様摺箔を出陳。図録あり(120ページ、2500円)。

国立能楽堂
 特別企画公演 黒川能
(11月10日~11月11日)

 三部立てのうち、第二部の能「木曾願書」、狂言「こんかい」、能「鐘巻」を鑑賞。鐘巻はシテの上野由部太夫の気合い充実の名演に感動。「鐘巻」をもとに改作された「道成寺」ではよく分からなかった所作の一つ一つにきちんと意味があることを実感。その詞書における日高平野を押さえた湯川氏の館があった小松原の強調、道成寺鎮守〈明神〉の組み込み(住吉明神)、完成した道成寺創建縁起、そして改変し完成した道成寺説話、「造立さって七百歳」の基準点は明示されないが15世紀成立を暗示することなど、地域史研究の立場から興味深いことばかりであるが、それらの膨大な情報が、きちんと一つの舞のストーリーとして成立していて破綻がない。次は黒川の現地で見たい!

スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://kanbutuzanmai.blog66.fc2.com/tb.php/777-e3d683c9

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

月別アーカイブ

ブログ内検索