2月17日
京都文化博物館
保存と修理の文化史
(1月5日~3月4日) 日本の歴史上において、折々の価値観において重要と認識された資料が、管理され、修理され、継承されてきた事例を丹念に拾い起こし、その心性(作善、権威の継承、組織の継承等)を浮かび上がらせるとともに、修理に携わった人々の存在をクローズアップする。誓願寺文書の箱や巻子外装に幾度も貼られた付箋、薬師寺吉祥天像の旧下地・表装類、きらびやかな絵画の背面に記された修理銘など、極めて地味な、しかし輝くように重要な、モノの伝来史を伝える情報に光を当てる貴重な機会。奈良国立博物館仏涅槃図は、画絹の左半分は南北朝時代、右半分は元禄16年(1703)の補筆とのことであるが、全く判別できず自信喪失(画絹の劣化度に違いがあるらしいことは分かる)。図録あり(64ページ、1300円)。
京都国立博物館
特別企画 貝塚廣海家コレクション受贈記念 豪商の蔵-美しい暮らしの遺産-
(2月3日~3月18日) 貝塚の豪商廣海家より寄贈された1000件の資料の中から、近世~近代の優品をずらり展観。漆器の状態がよく、管理が行き届いていたことを思わせる。大正期の膳具を数十個ずらりと並べる展示手法は大迫力。図録あり(164ページ、1500円)。
彫刻の展示では、久しぶりに安祥寺五智如来像にご対面。旧館の展示とは異なり、横一列に並ぶのも新鮮な印象。いろいろな獅子・狛犬と神像もじっくり。
奈良国立博物館
特別陳列 お水取り
特別陳列 薬師寺の名画-板絵神像と長沢芦雪筆旧福寿院障壁画-
特集展示 名もなき知識、発願者たち(写経編)
(2月6日~3月14日) 恒例「お水取り」を地域博物館としての役割により開催しつつ、収蔵品を活用した特別陳列・特集展示を重ねる。「薬師寺の名画」では南都絵所吐田座の尭儼の手になる板絵神像の修理(H11~13年)と模本作製(H20~25年)事業、そして長沢芦雪筆の旧福寿院障壁画の修復事業(H25~29年度)が完了した記念に全点を公開。板絵神像は法体・俗体・女体からなる22神。寛治年間(1087~94)の絵を永仁3年(1295)に写したもの。図録(64ページ、1000円)にはこれとよく似る新出個人蔵板絵神像(伝手向山八幡伝来)が紹介され、南都の絵師における古画学習と図様継承の実態がより詳細に判明。ずらり並ぶ初見の芦雪画はゆったり鑑賞できて贅沢。
東大寺ミュージアム
特集展示 二月堂修二会
(2月2日~3月15日) 3月1日からの修二会に合わせた特集展示。天文14年(1545)亮順筆の二月堂縁起上巻を大きく開く(下巻は奈良博お水取り展で展示中)。詞書は後奈良天皇と尊鎮法親王。当面の仕事に合わせて絵巻モード。図録なし。
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