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東博「新指定国宝・重要文化財」、國華130周年「名作誕生」、北区飛鳥山博「徳川家光と若一王子縁起絵巻」鑑賞記

4月25日
東京国立博物館
平成30年新指定 国宝・重要文化財
(4月17日~5月6日)

恒例新指定展。高野山領大田荘(広島県世羅町)の鎮守・丹生神社の丹生明神坐像・高野明神坐像に張り付いて鑑賞。高野山鎮守天野社祭神像の木型と推定される和歌山・三谷薬師堂女神坐像との類似は、そのかたちの先後関係とともに、鎌倉時代初期の高野山における地域支配と神像図像の整備・造像のあり方を考える上でも重要。ほかに鎌倉初期慶派様式を示す、絢爛豪華な彩色・截金の西光寺地蔵菩薩立像、「巧匠法眼快慶」銘を有する圓常寺阿弥陀如来立像、康俊の手になることが確実な大光寺乾峯士曇坐像、奈良仏師の手になる本山慈恩寺の釈迦如来坐像・文殊菩薩坐像・普賢菩薩坐像などなど、彫刻の優品をありがたく鑑賞。

創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年特別展 名作誕生-つながる日本美術
(4月13日~5月27日)

 國華創刊130年記念展。日本列島に伝わった美術資料のうち、人々の心を揺さぶる「名作」が、いかなる「つながり」によってかたち作られたのかを作例の分類と比較によって提示する、まさしく美術史のアカデミックな研究手法を展示室内に立ち上げる。彫刻では、檀像→代用檀像→木彫像の隆盛という、木彫論の四半世紀の成果を提示。宗教美術ではほかに、法華経と女人救済と普賢菩薩像、縁起と儀礼の場と祖師絵伝を、それぞれテーマとしてピックアップ。ほか雪舟・宗達・若冲、伊勢物語・源氏物語などを取り上げ、正統としての中国美術、正統としての古典との関わり方(模倣、転写、転用、意匠化などなど)の諸相を提示。形式化や硬直化についても触れると「写し」のイメージは理解しやすいが「名作」展では難しいか。図録あり(320ページ、2500円)。

北区飛鳥山博物館
企画展 徳川家光と若一王子縁起絵巻
(3月17日~5月6日)

徳川家光が寛永18年(1641)に制作した若一王子縁起絵巻、上中下巻の模本を極力長ーく広げて展示するとともに、巻頭から巻末までの図版と詞書全文もあわせて掲示する丁寧さ。寛永期幕府寺社政策と詞書編纂に当たった林羅山の思想など原本(幕末期焼失)の制作背景に迫りつつ、模本群の制作者についても精緻な検討を行って、資料の歴史的位置づけを明確にしており有益。図録(108ページ、800円)にも、全紙の図版(画面が分断されないよう配慮)、詞書、関連資料、論考を掲載。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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