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神奈川県立金沢文庫「御仏のおわす国」、神奈川県立歴史博物館「つなぐ、神奈川県博」鑑賞記

6月5日
神奈川県立金沢文庫
 企画展 御仏のおわす国-国宝 称名寺聖教がつむぐ浄土の物語-
(5月11日~7月8日)

 仏国土イメージの語られ方とその受容の展開を、称名寺聖教と宋版一切経をフル活用して提示する。冒頭で、仏国土としての娑婆(サハー)と、釈尊涅槃後の無仏時代(阿羅漢の時代)における弥勒下生を希求する物語を丁寧に提示するのは、もちろん称名寺本尊弥勒菩薩への信仰を踏まえてのこと。ずらり並ぶ経典は、雑阿含経・中阿含経・増一阿含経・仏般泥洹経・阿毘達磨大毘婆娑論・四分律・注維摩詰経・大般若経・法華経・華厳経等々。展示後半は極楽浄土をめぐる様々な思想・言説を並べる。阿弥陀経、観無量寿経など浄土経典とともに覚鑁著作の五輪九字明秘密釈(建長6年〔1254〕書写本)、一遍上人法語集(播州法語)なども紹介。重厚な仏教史展示を見る幸せ。展示導線はかなりアクロバティック。図録あり(80ページ、1200円)。

神奈川県立歴史博物館
 開館51周年記念 つなぐ、神奈川県博-Collection to Connection-
(4月28日~7月1日)

 施設改修休館ののちの再オープン記念として、着任して2~8年の若き学芸員たちが、神奈川県博のコレクションを「ドームをつなぐ」「ひとをつなぐ」「空間をつなぐ」「研究をつなぐ」「チカラをつなぐ」「未来をつなぐ」の各テーマを受け持って分野横断的に資料を選択し、専門分野外の解説も行うチャレンジングな展示。資料のさまざまなつながりとともに、新たな学芸員が使命と博物館史を継承するねらいのよう。収蔵資料の多様さと、神奈川県博の活動の多様さが十分に伝わる一方、館蔵品のみ(一部寄託品含む)で各章のコンセプトを明快に示すことの難しさと、展示空間の使いこなしの生硬さも見受けられるが、そこは同館の活動の特色たる解説ボランティアさんたちがフォローして支える。さまざまな「ひと“が”つなぐ」神奈川県博を体現する展示。図録あり(168ページ、1000円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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