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東京国立博物館「平成29年度 新収品」、びわ湖長浜KANNON HOUSE「横山神社馬頭観音立像」鑑賞記

6月21日、会議の前に上野へGO!

東京国立博物館
 特集 平成29年度 新収品
(6月19日~7月29日)

 東博の新収蔵資料のお披露目。身の毛もよだつ恐ろしい表情を見せる梅若家伝来の山姥(伝赤鶴作)は、定形化する以前の中世仮面らしい個性的な魅力と、それでいてゆがみなく左右対称に整った造形が狂気をより強調する。怪異表現の一つの到達点。仮面の年代比定は本当に難しいが、南北朝時代(14世紀)とされる(観阿弥の時代)。後に定形化する能面では洗練度を高めて抑制される自然で奔放で生き生きとした感情表現こそ、中世猿楽面の魅力。

びわ湖長浜KANNON HOUSE
 高月町横山 横山神社 馬頭観音立像
(3月20日~6月24日)

会期終了間際、ひと目だけでもとばたばたと飛び込み鑑賞。平安末~鎌倉初期造像の横山神社本地仏像。「再び会いたい観音さまリクエスト投票」で選出との由。自らが念じる観音さんにリクエストを送ると応現するというのは、観音信仰のメタファーでもある。長浜と東京をつなぐ細やかな仕掛けは、地域を特色づける宗教文化(観音信仰)自体の紹介という施設自体の目的を体現するもの。歴史や文化、信仰の尊厳を損なわずに「展示」するこうした練られた手法は、「消費」でない文化財活用のお手本ともいうべき理想的なあり方の一つ。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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