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奈良国立博物館「正倉院展」、興福寺国宝館 「邂逅」「再会」、元興寺法輪館「大元興寺展」、大和文華館「建国1100年 高麗」鑑賞記

10月30日、風邪。展覧会見学のために代休取ってたので、重い体引きずって奈良へ。

奈良国立博物館
 第70回 正倉院展
(10月27日~11月12日)

 恒例の正倉院展は70回目。さすが平日でも善男善女大参集。絢爛豪華な平螺鈿背八角鏡、玳瑁螺鈿八角箱、精緻で華麗な犀角如意、沈香木画箱、繡線鞋や錦紫綾紅臈纈絁間縫裳などの染織品、新羅琴、胴匙などなど見どころ多い。麻布に墨で描かれた山水図、光明皇后発願一切経の経名を書き上げた続々修正倉院古文書第十六帙第八巻、押出仏の形である仏像形をじっくり鑑賞。図録あり(152ページ、1200円)。本館の、奈良時代木心乾漆造の新資料である如法寺毘沙門天立像には解説板が設置。

興福寺国宝館
 興福寺中金堂再建落慶記念特別展示 邂逅-「志度寺縁起絵」-
(10月1日~10月31日)
 興福寺中金堂再建落慶記念特別展示 再会-興福寺の梵天・帝釈天-
(10月1日~11月15日)

 中金堂の落慶記念展として、国宝館の一角で特別展示。「邂逅」は藤原不比等と海女の婚姻と海中の宝珠を得る説話を描く志度寺縁起絵(重文)を展示。海女が命と引き換えに得た宝珠は中金堂本尊釈迦如来坐像の眉間に入れたと語る。この説話の形式を転用する道成寺創建縁起理解の上でしっかり鑑賞。「再会」は明治時代に寺を離れて現在は根津美術館に所蔵される帝釈天立像を、本来一組となる梵天立像と並べて展示。昨年1月~3月に根津美術館で先行お披露目ののちの機会。両展内容を解説する資料(B4・1枚両面)あり。興福寺の文化(財)の広がりや影響、関係性を可視化する好企画であり、今後も期待。

元興寺法輪館
 元興寺創建千三百年記念 大元興寺展
(9月13日~11月11日)

 法興寺(飛鳥寺)が平城京に移され元興寺として建立されてから1300年の記念展。考古資料・文献資料・美術資料から、創建から現代に至る通史を、奈良町の形成と関わりにも目配りしながら紹介。徳融寺菩薩立像残欠は等身大木心乾漆菩薩像の断片で厚く盛られた乾漆の状況がよく分かるよい資料。真言律宗元興寺の厨子入智光曼荼羅(重文)は南都絵所松南院座の大輔法橋清賢作の可能性が高いもの。なお華厳宗元興寺蔵の薬師如来立像・十一面観音立像などを「里帰り」した「大元興寺諸仏展」は9月27日で終了済み。図録あり(56ページ、1000円)。

大和文華館
 特別展 建国1100年 高麗-金属工芸の輝きと信仰-
(10月6日~11月11日)

 高麗時代の金属工芸に着目して、国内の諸機関より在銘品を多数含む重要資料を集約する。奈良博銀製層塔形舎利容器及び金製内容品、東博銀製鍍金観音菩薩・毘沙門天蔵小仏龕、長谷寺銅製銀象嵌梵字唐草文香炉、照蓮寺と園城寺の梵鐘(重文)、東博金鼓、愛知県美鉄地金銀象嵌鏡架、大阪歴博龍樹殿閣文鏡、高麗美術館銅製匙などなど。館蔵品の高麗経や高麗仏画もうまく活用。同館の平成28年度特別展「呉越国-西湖に育まれた文化の精粋-」からの連続性を意識したテーマで、銭弘俶塔ずらりの余韻がふと蘇る。図録あり(152ページ、2484円)
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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