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上原美術館「伊豆の平安仏」、河津平安の仏像展示館、願成就院、かんなみほとけの里美術館鑑賞記

12月2日、朝4時に和歌山を飛び出して伊豆半島へ。

上原美術館
 特別展 伊豆の平安仏-半島にひらいた仏教文化-
(9月22日~12月9日)

 リニューアル1周年を記念して、同館が継続して調査を行ってきた伊豆半島の仏像のうち、平安時代に遡る魅力的な作例を集める。伊豆市金龍院千手観音立像は眦を切り上げ顎の張った雄偉な風貌、胴を強く絞った体型など平安時代前期の余風を強く残す。同寺の不動明王坐像も古様を示す10世紀彫像。下田市法雲寺如意輪観音坐像は、多臂像ながら極力一木から木取りし、風貌に沈鬱さをやや残した10世紀の作例。河津町地福院吉祥天立像も、像の大略を一木より彫出した10世紀に遡る作例であるが、薬師堂本尊として安置されてきたことに驚き。吉祥薬師の稀有な一例のよう。河津平安の仏像展示館(南禅寺)からは平安時代前期の不動明王坐像、梵天立像・帝釈天立像、そして仏手など仏像断片がお出まし。これら仏像を通じて伊豆半島の古代における宗教環境が濃密に立ち上がるとともに、各像の修理痕跡や伝来情報から幾層にも重ねられた地域の信仰史が浮かび上がる。同館の担ってきた伊豆地域仏教美術研究の蓄積と信頼によってなし得た優れた展示。図録あり(48ページ、500円)。

河津平安の仏像展示館(南禅寺)
 河津町南禅寺伝来の仏像の展示施設として2013年オープン。本尊薬師如来坐像は重量感に溢れる9世紀彫像。迫力ある風貌の二天立像など9~10世紀の彫像が林立して圧倒される。10世紀の男神立像、女神立像の大きさにも驚く。本堂も開けてくださり虚空蔵菩薩坐像、地蔵菩薩立像拝観。係の方からは榧製のお守りや銀杏まで頂戴する。地域の方々が主体となって施設を作り、また運営されているとのことで、地域に伝来してきた魅力的な仏像を大切に親しみをもって継承する素晴らしい活動事例。

願成就院
 20年ぶりぐらいに訪問。運慶作の文治2年(1186)造像の阿弥陀如来坐像、不動明王二童子立像、毘沙門天立像をご拝観。宝物館では像内納入の銘札と、地蔵菩薩坐像など拝観。本堂本尊もシルエットを遠くに眺めて拝む。

かんなみほとけの里美術館
 函南町桑原地区の桑原薬師堂伝来仏像群の安置施設として2012年オープン。とても洗練された展示空間に、平安時代後期の薬師如来坐像と鎌倉時代の十二神将像、実慶作の阿弥陀三尊像などが林立。仏像群は桑原区から町へ譲渡の上、施設を設置して公開という経緯で、地域の方々の理解と尽力、そして行政との協力によって地域のシンボルたる仏像を継承する注目すべき活動事例。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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