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中之島香雪美術館「明恵の夢と高山寺」、東博「国宝 東寺」「2019新指定国宝・重要文化財」、埼玉歴民博「東国の地獄極楽」、群馬歴博「大新田氏展」鑑賞記

担当特別展を這々の体でオープンさせ、約2ヶ月ぶりの展覧会鑑賞。

4月30日
中之島香雪美術館
 特別展 明恵の夢と高山寺
(3月21日~5月6日)

 村山コレクションに収蔵される、明恵筆の夢記1巻(建仁4年〔1204〕ごろ)を結節点として栂尾高山寺の文化財を核としつつ自館コレクションを散りばめた明恵&鳥獣戯画展。樹上座禅像と夢記、そして仏眼仏母像を通じて明恵とまみえるありがたい機会。溢れる慈悲と真摯さ、そして明晰な思考、かくあるべしと背筋を伸ばす。鳥獸戯画も贅沢に参考出品。行列もほぼなく、かくあるべし。図録あり(176ページ、1800円)。

5月1日
東京国立博物館
 特別展 国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅-
(3月26日~6月2日)

 東寺宝物の東京出開帳展。風信帖(空海筆)、御請来目録(最澄筆)の国宝書蹟に始まり、真言七祖像、五大尊像、西院曼荼羅、京博十二天像の国宝絵画、唐請来密教法具、西院御影堂天蓋の国宝工芸品、そして講堂諸尊の数々と女神像の国宝彫像と、タイトル通りのラインナップ。東博平成館の強みである大空間を活かして広々と林立させた講堂諸尊像は、等間隔に配置された丸い台、そしてその間に多数参集する善男善女も一体となって、仏の充満する立体的な曼荼羅空間を実現しているかのよう。空海の意楽による特殊な羯磨曼荼羅であるので、いろんな再解釈や再構成も許されましょう。普段見られない背面のようすをたどりながらぐるり一周。図録あり(272ページ、2700円)。本館では特集「密教彫刻の世界」(3/19~6/23)を連動させて開催中。東博のおなじみの彫刻コレクションをうまく再配置。

 特集 2019新指定国宝・重要文化財
(4月16日~5月6日)

 恒例の新指定国宝重文お披露目展。彫刻主体に大阪・壺井八幡宮の頼円・実円作の神像をじっくり鑑賞(ちょうど自館で同じ頼円・実円作の広利時十一面観音立像を展示中)。ほか兵庫・朝光寺千手観音立像や新薬師寺地蔵菩薩立像、萬行寺阿弥陀如来立像といった、地域の中で地道に調査され評価されてきた作例をピックアップしているのが、素晴らしい方向性。和歌山県からは阿須賀神社の懸仏群が考古の分野で阿須賀神社境内(蓬莱山)出土品として指定。戦後、台風被害で倒れた社殿裏の木の根元から出土し、東博が発掘調査しているという珍しい事例。世が世なら東博収蔵品だったかも。

埼玉県立歴史と民俗の博物館
 特別展 東国の地獄極楽
(3月16日~5月6日)

 地獄極楽をテーマとしつつも、3章副題の「浄土宗第三祖良忠と関東三派の東国布教」を基軸として展覧会構成。白旗派・名越派・藤田派の浄土宗関東三派の教線拡大の状況を地道な資料調査と地域史研究の成果を踏まえて丁寧に提示。善光寺式阿弥陀三尊像は、下野国那須伝来の東博建長6年(1254)在銘像、栃木・円通寺(名越派)の作例、福島県いわき市所蔵の如来寺旧蔵嘉元2年(1304)修理銘を有する作例(伝良忠所蔵像)を紹介。ほか熊谷市東善寺の快慶風が顕著な阿弥陀如来立像も出陳。図録あり(128ページ、1000円)。

群馬県立歴史博物館
 企画展 大新田氏展
(4月27日~6月16日)

 新田義貞を巡る研究の大幅な進展を、実物資料を集約して展覧会として共有化を図る意欲的な内容。昨年発見された足利尊氏像(神護寺の肖像と似るもの)や福井・藤島神社の新田義貞像、太田市総持寺の伝儀貞像(本来は怖い顔の随身像)など肖像を集めるとともに、長楽寺文書など多数の中世文書を集約して、堅実な歴史叙述に努めて新田一族の鎌倉~南北朝期の動向をあきらかにする。地域史研究の観点から仏像・神像の調査も行われ、その成果も反映。太田市十二所神社の神像は正元元年(1259)造像。神仏分離で隣の円福寺から神社に移されたという、普通とは逆のパターンで、重要な新資料。その円福寺からは南北朝時代とされる毘沙門天立像も出陳。総持寺の不動明王立像は10世紀の重量感あふれる作例で県指定文化財指定。迫力満点。世羅田の長楽寺の文化財も多数出品され、新田荘の中世をモノ資料から見つめる。図録あり(152ページ、920円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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