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金沢文庫「聖徳太子信仰」、東博・泉屋博古館分館「文化財よ、永遠に」、長浜KANNON HOUSE、大倉集古館「桃源郷展」鑑賞記

10月2日
神奈川県立金沢文庫
特別展 聖徳太子信仰-鎌倉仏教の基層と尾道浄土寺の名宝-
(9月21日~11月17日)

 中世の真言律宗周辺の聖徳太子信仰に基づく美術資料を集約。茨城県から善重寺聖徳太子立像(重文・摂政像)、妙安寺の聖徳太子立像(孝養像)と聖徳太子絵伝(重文)、上宮寺聖徳太子絵伝(重文)、小松寺如意輪観音坐像、千葉県・円勝寺聖徳太子立像(二歳像)と関東地方における太子信仰の優品を揃える。また広島県・浄土寺からは聖徳太子立像3軀(摂政像・孝養像・二歳像〔重文〕)、釈迦涅槃図(文永11年〔1274〕、重文)、弘法大師絵伝(県指定)、定証起請文(嘉元4年〔1306〕、重文)などなど、多数出陳されて有益な機会。幸俊作の暦応2年(1339)聖徳太子立像の体型と衣紋処理をじっくり。図録(112ページ、1800円)は鋭意製作中で、校正刷り見本による予約販売中(現在館内でのみ受付)。

東京国立博物館
 住友財団修復助成30年記念 文化財よ、永遠に
(10月1日~12月1日)

 住友財団による文化財修復への助成事業30周年を記念し、その成果を4会場(泉屋博古館・同分館・九博・東博)で紹介。東博会場では、東日本大震災において被災した福島県の杉阿弥陀堂阿弥陀如来坐像、楞厳寺釈迦如来坐像および迦葉阿難立像、龍門寺虚空蔵菩薩坐像のほか、埼玉県・保寧寺の宗慶作阿弥陀三尊像、福井県高成寺の千手観音立像、滋賀県・金剛輪寺十二神将立像、三重県・一色町能楽保存会の能面、和歌山県・熊野那智大社の下御門仏師作の神像、高知県・北寺の仏像群など、全国(九州・京都府以外)のバラエティに富んだ彫刻資料を集約。文亀元年(1501)高野山龍光院より伝来したと伝わる長野・不動寺の不動明王立像、2015年の長野県信濃美術館「“いのり”のかたち」以来のうれしい再会で、風貌の新様と体型の旧様を眺めつつ平安時代末の転換期の作例と想像。もっと調べてみよう。図録あり(112ページ、1100円)。

びわ湖長浜KANNON HOUSE
 余呉町上丹生 源昌寺 聖観音坐像
(8月27日~10月27日)

 小さいながらも平安時代後期風が顕著な源昌寺の観音像を紹介。実際の制作時期は、建保3年(1215)作の同寺本尊薬師如来坐像、翌年造像の洞寿院観音菩薩立像と表現が近く、鎌倉時代に入るとの評価。「仏の本様」たる定朝様の惰性が地域の仏師の中でとても強く残り続ける事例。彫刻史のムズカシイところをさらりと示す貴重な機会。東博にお出かけの皆様、例え5分でも隙間があれば、ぜひ観音ハウスにお立ち寄りを。解説カード(無料)あり。

泉屋博古館分館
住友財団修復助成30年記念 文化財よ、永遠に
(9月10日~10月27日)

 住友財団による文化財修復への助成事業30周年記念展。泉屋博古館分館会場では、称名寺の十二神将像、大倉集古館の十六羅漢像、永青文庫の長谷雄草紙、慈光寺の法華経一品経、泉屋博古館の水月観音像、練馬区立美術館池大雅筆比叡山真景図、アルカンシェール美術財団円山応挙筆淀川両岸図巻、増上寺狩野一信筆五百羅漢像などなど、修理助成した関東地方の所蔵者を中心に絵画資料に特化して集約。永青文庫・伝雪舟筆富士三保清見図の落款と印がはめ込みとの指摘。へえー。図録あり(192ページ、1200円)。後は九博会場だけ。

大倉集古館
 リニューアル記念特別展 桃源郷展-蕪村・呉春が夢みたもの-
(9月12日~11月17日)

 5年半の工事を終えてリニューアルなった同館の再オープンにあたり、吉祥図像の桃を取り上げる。新収蔵資料の呉春筆武陵桃源図屏風をメインテーマとして、その師与謝蕪村の武陵桃源図(個人蔵)と比較しながら、画中に亡き師を投影した呉春の画風変遷の画期を示す資料と位置づける。新たな作品解釈に果敢に踏み込む一方で、桃や桃源郷をモチーフとした中国絵画(林原美術館武陵桃源図巻ほか)から、日本における桃源郷イメージの受容と展開を示す作例(三井記念美術館中村来章筆武陵桃源図ほか)まで目配りして堅実。図録あり(112ページ、2200円)。1階では名品展。古今和歌序(国宝)、普賢菩薩騎象像(国宝)、石清水八幡曼荼羅(重文)、一字金輪像(重文)などなど。ミュージアムショップは地下1階に移動。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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