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田辺市中辺路町・清姫堂が全焼

清姫堂1

清姫道2

田辺市中辺路町真砂の清姫堂が全焼し、安置されていた本尊薬師如来坐像、清姫坐像などが焼失しました。放火の疑いもあるもようです。
紀伊民報2008年7月29日記事
写真は一昨日、出張の途中に現場に立ち寄った際に撮影したものです。守ってこられた地元の皆様の心中、察して余りあります。

道成寺縁起は、安珍と清姫を巡る物語ですが、このお堂のある真砂(まなご)が、安珍と清姫が出会う地です。清姫は真砂の庄司の娘として登場します。道成寺縁起や日高川草子などでは、清姫は安珍に恋慕し袖にされたことで蛇に変化し、逃げる安珍を道成寺に追い詰め、鐘の中に入った安珍もろとも焼き殺すという壮絶な内容ですが、地元では清姫が蛇身に変わることの合理的説明を加えた縁起絵巻が清姫堂を管理する近隣の福巌寺に伝来していて、清姫をけっして悪人にはしないゆかりの里ならではの物語も残されています。地域の人々に愛されてきたモニュメンタルな場と像が失われたことに、強いショックを覚えます。

つい先日、6月18日には、同じ田辺市中辺路町の熊野古道・中辺路のシンボル的存在である牛馬童子像の頭部が切断され失うという事件が起きたばかりです。
観仏三昧的生活6月21日記事

両者に何か関連があると考えたくはありませんが、近くには九十九王子の一つ滝尻王子社もありますし、放火の可能性もある中では、次の被害を未然に防ぐために防災・防犯を強化する必要があるでしょう。しかし清姫堂や牛馬童子のように普段人目のつかない場所を監視することには限界があります。突きつけられた問題は、あまりに大きなものです。

文化財を守ることは歴史を守ること。歴史と向き合うことは、過去から現在への時間の流れを意識すること。それは、まだ見ぬ未来のために現在を生きる「人間性」の獲得のために必要な作業。文化財を守ることは、「私」が未来を見つめることだと、思うのです。

【観仏三昧―仏像と文化財の情報ページ―】
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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