7月25日
京都国立博物館
特別展 聖地をたずねて-西国三十三所の信仰と至宝-
(7月23日~9月13日) 会期変更し満を持しての開催。西国三十三所草創1300年を記念し各札所寺院から名宝を集めて展観。粉河寺・長谷寺・石山寺・総持寺ほかの観音の霊験を描いた縁起絵巻、数々の観音の姿を描いた中世仏画とともに、多数の参詣曼荼羅が並ぶ一角が本展の見どころで、展示替えも含めて那智山・紀三井寺・粉河寺・施福寺・葛井寺・清水寺・善峯寺・中山寺・成相寺・松尾寺・長命寺の各幅が出陳。
その絵の中にいるのは「私」であると実感(錯覚)させることが参詣曼荼羅という唱導の道具の目的である。そのために絵解きも付随した。そのように見れば、参詣曼荼羅の中に描き込まれた聖地を巡錫する巡礼者と、京博展示室内を観音像を求めてへめぐる来館者は重なる存在である。堂塔造営の勧進状やご詠歌等の版木、そして納経帳や巡礼札といった民衆との接点となる信仰の道具がしっかり目配りされて集められており、そのことを強調する。収束の見えない疫病流行下での出開帳展示も、民衆の救済への渇望を受け止め続けてきた西国三十三所の歴史そのものを体現しているかのようである。困難の中に、信仰の花が咲く。
ほか、一乗寺観音菩薩立像、岡寺菩薩半跏像、華厳寺毘沙門天立像などの仏像、青岸渡寺と東博に分蔵される那智経塚出土の羯磨曼荼羅の復元など出陳資料多数。図録あり(310ページ、2700円)。
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