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長浜市長浜城歴史博物館「竹生島弁才天-仏から神へ、その信仰の展開-」、京都国立博物館「文化財修理の最先端」鑑賞記

長浜市長浜城歴史博物館
 企画展 竹生島弁才天-仏から神へ、その信仰の展開-
(11月28日~1月17日)

 令和二年の春秋に大阪城天守閣と長浜城歴博で開催予定だった「豊臣家ゆかりの“天女の島”-びわ湖竹生島の歴史と宝物」展が新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となり、内容を竹生島弁才天信仰に絞り改めて企画。
 叡山文庫の渓嵐拾葉集や仁和寺妙音天像(土佐行広筆)、石山寺天河弁才天像等で弁才天の諸相を踏まえた上で、仁和寺本別尊雑記巻四十四の八臂弁才天立像(注記に「竹生嶋弁才天定智筆/三井寺法輪院本也」とあり)、塩津港遺跡出土の起請文木札にみられる「鎮守竹生弁才天女」等の記述、日吉山王曼荼羅や本地仏像に含まれる竹生島弁天の姿、竹生島蓮華会のようすから、平安時代後期以来、神として祭祀される竹生島の弁才天信仰のあり方と、近世に周辺地域に展開する弁才天信仰の広がりを提示。
 井口日吉神社の日吉山二十一社本地仏像(南北朝~江戸)、宝厳寺の弘治3年(1557)銘枚方仏師重清作の弁才天坐像、慶長19年(1614)銘枚方仏師鹿介ほか作の弁才天坐像などの彫像や、浄信寺弁才天十五童子像等々、弁才天像がずらり。図録あり(62ページ、1400円)。開催されなかった先の展示の図録(158ページ、1200円)も入手。
 図録論考「竹生島弁才天考-中世における信仰を中心に-」(執筆坂口泰章)では竹生島弁才天と地主神浅井姫命の集合関係を否定して別々の神と位置づけるのも堅実な態度。地域の博物館が、長年の調査研究活動を踏まえて、地域の特徴ある信仰を時系列に沿ってまとめ上げた好企画。

京都国立博物館
 文化財保存修理所開所40周年記念 文化財修理の最先端
(12月19日~1月31日)

 京都国立博物館内に設けられている文化財保存修理所の開設40周年を記念して、文化財修理の諸相を紹介。当初6~7月開催予定であったが新型コロナウイルス感染拡大防止のため延期となり、満を持して開催。こうした修理をテーマとする展示は、文化財保護法のもとに設置される国立博物館でこそ可能なもの。
 安楽寿院孔雀明王像、阿弥陀二十五菩薩来迎図、京博の仏涅槃図、病草子、十二天像などの院政期絵画をはじめ、立本寺金字法華経宝塔曼荼羅8幅、京博騎馬武者像、伊藤若冲石燈籠図屏風、俵屋宗達筆蓮池水禽図、池大雅筆西湖図など絵画資料を中心として、京博金剛般若経解題残巻、仁和寺三十帖冊子、東寺熊文様蛮絵袍、正伝寺九条袈裟(無準師範所用)などなど、さまざまなジャンルの重要資料をずらり展観。
 また軸木内墨書によりセット関係が把握された興聖寺兜率天曼荼羅図と海住山寺阿弥陀浄土図、透過赤外線撮影にて御衣絹加持の痕跡が確認された園城寺黄不動像(パネル)、像内から納入品を確認した文化庁釈迦如来立像、軸木内から納入品を得られた西寿寺當麻寺練供養図(元和7年(1621)竹之坊藤吉・藤三筆)など、修理によって新たな学術情報を得られた事例も多数紹介。
 紹介されるような最先端・最高水準の修理事例は限られた業者・技術者でこそ可能とはいえ、身の回りの数多くの未指定文化財を修理する際にも、その修理理念や方法論を参考にして、施主や施工者とコミットすることで改善できることも多い。そうした点で図録(128ページ、2200円)に文化財修理に関する豊富な参考文献を付されていることも重要な普及活動。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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