「以上、今回調査の対象とした三像は、いずれも平安時代中期の特色をしめす作例である。なかで、薬師如来像が、本尊地蔵菩薩立像よりもむしろ本格的な中央風の作風をみせることがことに注目されるが、(中略)寺伝では隣里から移したようにも語られるこの像こそ、この寺のほんらいの本尊ではなかったか。」(山本・平野2008、52頁)
山本勉・平野智子「国府津・宝金剛寺平安中期彫刻調査報告」(『清泉女子大学人文科学研究所紀要』29、2008・3)
上記論考を主執筆者の平野さんより頂戴しました。ありがとうございます。仏像がもつ情報を読み取っていくと、地域の歴史の積み重なり方が実は複雑であったことが見えてくることがあります。整理された情報も大事ですが、たとえ混沌としていても生の情報をたくさん確保することが地域史理解の上で不可欠であり、寺院の文化財調査報告を共有させてもらえることは大変意義深いものと思います。
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