11月4日
元興寺法輪館
特別展 ならまちの地蔵霊場 十輪院の歴史と信仰
(10月23日~11月14日) 南都・十輪院の歴史を、地蔵信仰を軸として古代から近代まで丹念に紹介。奈良時代の釈迦誕生仏立像、境内出土の平安時代の常滑焼大甕、下御門仏師の手になる理源大師坐像や、平城十輪院記や南都十輪院記の縁起、尊勝曼荼羅など、多様な資料の悉皆調査の成果を反映。本尊地蔵石仏龕をタペストリーで再現。仏画では真言八祖像(展示は弘法大師像のみ)は永禄元年(1558)の裏書きある中世仏画の新資料で、彩色主体の画風や侍者像の風貌は南都絵所の典型的作風を示す重要資料。図録として同名の書籍を十輪院と元興寺文化財研究所の共編で出版(184ページ、1400円+税、京阪奈情報教育出版)。
奈良県立美術館
特別展 生誕200周年記念 森川杜園展
(9月23日~11月14日) 奈良の一刀彫りで有名な森川杜園の、一刀彫りに留まらない多様な事蹟の全貌を紹介する好企画。奈良人形の制作のみならず、絵師であり、狂言師であり、また書もよくした才能溢れる文化人としてのその人物を、多数の作品を通じて紹介。なにより本展を重厚なものとするのが、明治時代初期の壬申検査における正倉院宝物の多数の模写資料とその模造作品、あるいは法隆寺九面観音像ほかの模造作品を集約した3章で、明治時代の古器旧物保護を巡る在地の動向を追跡し続ける同館の展示の蓄積を踏まえ、近世の職人的工人が近代の「美術」の制度に接して昇華していくその遍歴をも展示室内に視覚的に構築する。図録あり(160ページ、2400円)。
東大寺ミュージアム
開館10周年記念特別公開 華厳五十五所絵巻
(10月1日~11月16日) 東大寺所蔵の華厳五十五所絵巻を、前後期に分けて全巻公開。後半部分をじっくり鑑賞。戒壇堂四天王立像、法華堂日光菩薩・月光菩薩立像の林立する空間のなんと贅沢なことか。東京芸大文化財保存学保存修復彫刻研究室寄贈の執金剛神模刻像2軀の特別公開(~3/21)も、まさに今この展示室内にこそふさわしい時宜にかなった展示。
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