「行尊の伝記については、従来、超人的な験力を現した事跡が個別に注目されることが多かったが、今回、天台宗寺門派の編著とそれ以外に大別して諸記事を整理した結果、天台宗寺門派では『三井往生伝』(建保五年、一二一七)・『寺門高僧記』(鎌倉末期)において行尊伝がほぼ完成をみたこと、伝記の中核に長承三年の園城寺金堂再興が据えられたことがわかった。たんに修法の験ということでいえば、むしろ真言宗の栄海撰『真言伝』のほうに多くの事跡が採録されており、行尊が異例の尊崇を受けた背景を垣間見ることができる。」(川崎2008、2頁)
川崎剛志『山岳修行僧行尊の伝記と詠歌についての総合的研究』(平成17年度?平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書・2008年3月)
修験者の実像に迫るご研究に触れて、熊野三山と修験の問題にぶつかって行かざるを得ない私としましては、大変勉強になります。ありがとうございました。
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