10月4日
龍谷ミュージアム
特別展 博覧-近代京都の集め見せる力-初期京都博覧会・西本願寺蒐覧会・仏教児童博物館・平瀬貝類博物館
(9月17日~11月23日) 資料を集め供覧する博覧・蒐覧のあり方を、明治初期に開催された博覧会のごく初期事例である西本願寺を会場として行われた明治4年京都博覧会、明治8年から開催された西本願寺蒐覧会、真宗僧中井玄道による仏教児童博物館と西本願寺周辺の事例と、民間の貝類研究者平瀬與一郎による平瀬貝類博物館を取り上げて紹介。京都博覧会の実態が詳細に明らかにされていることや、西本願寺蒐覧会の開催内容と宗派による末寺法宝物の鑑査と鑑査状の発行といった、国の古器旧物保護の動きとも連動した実態を示していることなど、明治時代の「文化財」を巡る動きが、本山内の資料も含めて集められた多数の資料から展示室内に立ち上がり、極めて重要な学術成果を共有する機会となっている。博覧をテーマにした展覧会自体が、微に入り細を穿つ種々多様な資料を博捜し供覧して成り立っているという「博覧」の二重構造になっている。図録(260ページ、2500円)もまさに博覧の二重構造で、単なる資料カタログには留まらず、担当和田秀寿学芸員による単著とみなすにふさわしい膨大な文章量で展示内容が詳述されていて、参考文献も充実。近代期の「文化財」保護と普及を巡る研究分野において、必見の展示であり必携の図録。
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