10月15日
和歌山県立博物館
特別展 濱口梧陵と廣八幡宮-法蔵寺・養源寺・安楽寺の文化財とともに-
(10月15日~11月23日) 広川町の廣八幡宮及び別当明王院と町内寺院3か寺の文化財調査に基づく成果を公開。広村出身の実業家・政治家濱口梧陵の安政地震津波時の活動をあわせて紹介する。廣八幡宮別当明王院の十一面観音立像は、像内納入の法華経に元徳元年(1329)に納められたことが記され、制作時期を把握できる基準作例。この明王院旧蔵の仏像群が大阪・四天王寺に引き継がれていることが知られるが、そのうち元廣八幡宮多宝塔本尊の、鎌倉時代後期の大日如来坐像を展示。同様に移動した四天王寺薬師如来坐像と阿弥陀如来坐像もパネルで紹介。資料散逸により把握しづらくなっている廣八幡宮のかつての神仏習合のあり方を、実物に即して把握できる貴重な機会。ほか、法蔵寺一空上人坐像や十六羅漢像、安楽寺光明本尊や馬上清江筆の徳本上人像、富岳図、玉龍筆の極めて雄渾な書「天鑑」「無私」、養源寺に江戸青山御殿資材により建築された堂舎に関する資料など、海に開かれた湊町の寺院に伝わった多様な絵画・墨蹟・工芸品・典籍類が並ぶ。地域に密着した地道で丁寧な資料調査活動に基づき、新たに把握され価値評価がまだ定まっていない資料群をただちに公開して広く共有することで、地域文化の知られざる一面を紹介しまたそれを地域に還元する学術的な営みは、「各地域で知的、文化的中枢として奉仕すべき」(ユネスコ「博物館をあらゆる人に開放する最も有効な方法に関する勧告」)博物館が果たすべきあり方を体現するもの。図録あり(240ページ、2000円)。
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