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戸花亜利州君追悼

 大学院時代の一つ下の後輩、戸花亜利州君が急逝しました。4月17日に帝塚山大学での講義後に倒れ、47年の短い生涯を閉じられました。
 帝塚山大学経済学部から同大学大学院人文科学研究科日本伝統文化専攻課程に進学し、修士論文で取り組んだ薬師寺薬師三尊像についての研究は、「薬師寺金堂薬師如来像台座に表された異形像の意義」(『佛敎藝術』284、2006年)ほかの論文として上梓され、本薬師寺から移坐したとする見解を、平城京新造説が圧倒的であった中で果敢に示されました。院生室で、蟹満寺の釈迦如来坐像などとも比較しながら議論したのを今でも思い出します。
 帝塚山大学講師としては、同大学附属博物館での業務のなかで絵馬についても研究し(師の河田貞先生、大学院研究科長でお世話になった岩井宏實先生も絵馬のご著書あり)、城陽市歴史民俗資料館学芸員としての経験から、山城の古代寺院の出土資料を中心に塑像研究で重要な報告を次々に示しているところでした。直近では「平川廃寺尊像復元考 : 薬師寺金堂月光菩薩像の3次元計測データとの比較から」(『帝塚山大学文学部紀要』43、2022年)を上梓し、3D計測した塑像編を組み合わせて復元していくという、最先端の手法による実証的な研究を進めはじめたところでした。奈良大学でも博物館実習や美術史概論、美術史講読など主要な講義を長くご担当されました。
 穏やかでシャイな好青年で、帝塚山大学でも奈良大学でも、講義を受けた学生からは、「戸花先生の講義を聴いて仏像が好きになった」という声をたくさん聞きます。苦労を重ねてきて、その花をこれから咲かせていく間際でのご逝去、残念でなりません。
 本日が通夜、明日が葬儀ですが、ご家族だけでのお見送りですので、ここに戸花君への哀悼の意を表し、故人を偲ばせていただきます。

戸花亜利州君主要業績(論文のみ)
「薬師寺金堂薬師三尊像の制作年代について」(『帝塚山大学大学院人文科学研究科紀要』3、2002)
「薬師寺金堂薬師如来像台座に表された異形像の意義」(『佛敎藝術』284、2006)
「山田寺講堂薬師三尊像移座について」(『奈良学研究』8、2006)
「大学博物館における展示実習の意義と課題-帝塚山大学博物館実習生による企画展示を通して」(『全博協研究紀要』12、2009)
「薬師寺金堂薬師如来像台座異形像と『金光明経』」(『奈良学研究』11、2009)
「蟹満寺の造営主体について-蟹満寺の研究史を踏まえて」(『日本文化史研究』47、2016)
「高麗寺出土塼仏」(『帝塚山大学考古学研究所研究報告』19、2017)
「平川廃寺本尊と造営氏族に関する一考察-平川廃寺出土の塑像片を中心として」(『帝塚山大学大学院人文科学研究科紀要』18、2018)
「わが国における邪鬼の表現-法隆寺金堂四天王像邪鬼から東大寺戒壇堂四天王像邪鬼への変遷を中心として」(『奈良学研究』21、2019)
「宮井廃寺の尊像構成についての一考察-出土塑像片を中心として」(『日本文化史研究』51、2020)
「平川廃寺出土塑像の集成及び本尊についての一考察」(『帝塚山大学考古学研究所研究報告』22、2020)
「博物館学習教材「どこでも博物館」の開発及び教育効果についての一考察」(『帝塚山大学文学部紀要』42、2021)
「圓證寺不動明王坐像」(『奈良学研究』23、2021)
「宮井廃寺出土塑像について」(『日本文化史研究』52、2021)
「平川廃寺尊像復元考-薬師寺金堂月光菩薩像の3次元計測データとの比較から」(『帝塚山大学文学部紀要』43、2022)
「宮井廃寺出土塑像」(『日本文化史研究』53、2022)
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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