8月8日
石川県立歴史博物館
特別展 いしかわの霊場-中世の祈りとみほとけ-
(7月22日~9月3日) 石川県内の聖地や霊場を、仏像や古文書、考古資料など信仰に関わる資料を用いて復元的に提示。明泉寺秘仏本尊千手観音立像(10c)、石動山天平寺地蔵菩薩立像(10c).翠雲寺弥勒菩薩坐像(11c)など古様で風格のある仏像を間近に拝めるありがたさ。承元2年(1208)銘を有する志賀町高爪神社薬師如来坐像も、聖地高爪山についての情報とともに見るとその重要性が際立つ。常設展示に同じ志賀町の意冨志麻神社(宗像三神祭祀)の、宝徳2年(1450)銘本地仏菩薩形坐像2躯・不動明王坐像も展示(図録未掲載)。羽咋市福永ヤシキダ遺跡出土資料(三鈷鐃、錫杖頭ほか)や金沢市千田北遺跡出土の笠塔婆も興味深い資料。論考多数の図録あり(146ページ、2200円)。
国立工芸館
所蔵作品展 水のいろ、水のかたち展
(7月7日~9月24日) 館蔵資料から水に関わる作品を集約して夏にふさわしい涼やかなテーマを構築。水そのもののさまざまなデザイン化にとどまらず、水を入れる機能、水のある風景など、テーマーを広範に捉えて焼物、ガラス、織物から人形までバラエティに富む内容。ガラス製品を露出展示(テグス固定)するのもヒヤッと涼しい。図録あり(16ページ、無料)。
金沢能楽美術館
企画展 面に酔う-後藤祐自・能面の宴-
(4月22日~8月27日) 現代を代表する面打の1人であり、能面修復も広く手がける後藤祐自氏の作品と、金沢市域の神社に所蔵される近世の装束ほかを紹介。本面の写しは、元面の彩色再現に優れて風格をも写している一方で、各解説に付けられた自らの言葉を見ると、とてもかなわない、難しい、といった抑制的なコメント。誠実。図録なし。
福井市立郷土歴史博物館
特別陳列 福井の里山・文殊山ゆかりの神仏
(7月27日~9月3日) 古代の東大寺領糞置荘に接し、福井市と鯖江市にまたがる文珠山の聖地のあり方と周辺地域の信仰史を、考古資料と多数の仏像・神像から浮かび上がらせる意欲的な展示。ずらり仏像神像が並んだ圧巻の展示室の中で一際目を引く鎌倉初期の十一面観音坐像は奈良仏師の作(HP・チラシ等に図版なし)。重要資料。県指定の鎌倉中期ごろの弘法大師坐像も凛々しく堂々とした優作。先般ご開帳が行われた二上観音堂の十一面観音立像(重文)はパネルで紹介。A4・4ページの解説シートあり。
8月9日
福井県立若狭歴史博物館
若狭・麗しの密教世界一ようこそ密厳浄土へ
(7月29日~8月27日) 若狭地域の寺院に伝わる仏画を多数集めて密教美術を詳しく紹介。重文3件、県指定10件を含む中世資料25件31点を展示。萬徳寺の弥勒菩薩像(鎌倉時代・重文)や、画面上部に九曜を描き文殊と四天王を配した珍しい文殊菩薩像(鎌倉時代、県指定)、羽賀寺の一具同作の両部曼荼羅、四大明王、十二天像(室町時代後期、県指定)をずらり並べて灌頂の堂内空間をイメージするなど、密教を体験的に伝える。仏像では円通寺観音菩薩立像は胴を絞って裙裾をあげた軽やかな立ち姿の10世紀彫像。若狭を密教から見るという視点を提示する意欲的な展示。図録なし。
愛知県美術館
企画展 幻の愛知県博物館
(6月30日~8月27日) 明治時代初期、各地の博覧会ブームのなか設立され、その後展示機能を引き継げず忘れられた「愛知県博物館」について、その時代相とともに復元的に紹介する。民間からの寄附金を集めて当初会社として建て、のちに県立としたもので、殖産興業に比重をおいた物産館・商品陳列観の性格を有する博物館であったことを、関連書籍や旧蔵資料を集めて紹介。図録あるが予約販売で会期末ごろに刊行予定(ページ数不明、1500円)。
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