静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
あの世の探検−地獄の十王勢ぞろい
(8月11日~9月24日) 豊富に所蔵する館蔵仏教美術の中から近時修復した仏画を中心に選んで展観する。元〜明の十王図・二使者図は、高麗時代の被帽地蔵を中幅として13幅をずらり並べる。表具は13幅とも共通し、近世段階では現在の取り合わせになっていたもよう。圧巻の空間は撮影可で、ありがたく表具のようすを一部撮影。高麗仏画ではほかに水月観音像と、雲中より半身を湧出させる苦行釈迦像も高麗と位置づける。美麗な千手観音二十八部衆像、普賢菩薩騎象像(重文)をじっくり鑑賞。初公開の兜跋毘沙門天立像は10世紀作例。地天女と雲気文をあらわす台座も古いもの。なんと曜変天目(国宝)も並ぶ。図録あり(48ページ、1500円)。
東京ステーションギャラリー
春陽会誕生100年 それぞれの闘い−岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ
(9月16日~11月12日) 「各人主義」のもと画風さまざまな著名作家の集まりである同会の足跡を作品からたどる。岸田劉生《近藤医学博士之像》(神奈川県立近代美術館)、中川一政《駒ヶ岳》(真鶴町立中川一政美術館)、三岸節子《自画像》(一宮市三岸節子記念美術館)、木村荘八《私のラバさん》(愛知県美術館)、鳥海青児《セリスト(B)》(平塚市美術館)、岡鹿之助《観測所》(静岡県立美術館)などなど、各地の美術館の目玉作品が集まって見応えあり。タイトルの「闘い」には展示構成上は特に踏み込んでいないもよう(見落としただけかもしれない)。図録あり(235頁、2750円)。
高島屋史料館TOKYO
陶の仏−近代常滑の陶彫
(9月16日~2月25日) コンパクトな室内に常滑の職人たちの手になる陶器の仏像がずらり並ぶ。鯉江方寿が開設した常滑美術研究所、その後設立された常滑陶器学校(現愛知県立常滑高等学校)にて学んだ多くの陶彫家のなかから特に柴山清風に注目し、その生涯を通じての観音像制作を紹介。清風の普賢菩薩騎象像や十一面観音立像には著名な(写真のある)仏像を本歌取りしていることが見受けられ、作家性(個人様式)が前に出ないところがある。祈念や鎮魂を目的に観音像制作を続けた「陶の仏師」。和光大学君島彩子氏監修。図録なし。
スポンサーサイト
- http://kanbutuzanmai.blog66.fc2.com/tb.php/964-145e06a5
トラックバック
コメントの投稿