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高野山霊宝館「高野山の名宝 第3期」鑑賞記

8月28日
高野山霊宝館
 開館100周年記念大宝蔵展 高野山の名宝
(3期:8月3日~10月3日)

 担当企画展をオープンさせて、ようやく開館100周年記念展の3期目を見学。再び仏画総入れ替え。紫雲殿左右壁に平清盛寄進の巨大な両界曼荼羅(血曼荼羅、平安時代、重文)の原本展示。正面は阿弥陀聖衆来迎図の高屋肖哲模本。ほか善女龍王像(平安時代、国宝)、龍光院伝船中湧現観音像(平安時代、国宝)、西禅院阿弥陀浄土曼荼羅(平安時代、重文)、西南院五大虚空蔵菩薩像(鎌倉時代、重文)、善集院八宗論大日像(鎌倉時代、重文)、成福院阿弥陀如来像(南宋時代、重文)など見どころいっぱい。彫刻では諸尊仏龕(唐時代、国宝)とともに板彫両界曼荼羅(唐時代、重文)、胎蔵界板彫曼荼羅2面(唐時代、重文)と唐代彫刻が集約。ほか天弓愛染明王坐像(平安時代、重文)、奥之院護摩堂伝来不動明王坐像(鎌倉時代、重文)や、もちろん運慶作八大童子(国宝)も。聾瞽指帰(平安時代、国宝)は下巻が原本展示。収蔵品図録あり(214頁、4500円)。

奈良国立博物館「奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-」鑑賞記

奈良国立博物館
 特別展 奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-
(7月17日~9月12日)

 館蔵品をフル活用して仏教美術の諸相を網羅的に紹介。刺繍釈迦如来説法図、最澄筆久隔帖、地獄草紙、若王子社伝来薬師如来坐像、龍田新宮伝来十一面観音像、日本書紀巻十等々、惜しみなくコレクションを披露。新たな利用者層への来館喚起を促すべく統一デザインをアメコミ調のポップなものとして、また全点を撮影可能にして利用者の利便性に配慮し、かつSNS等での広報効果の向上へとつなげることなど、普段の重厚かつ森厳な「殿堂」での「拝観」というイメージを、大胆に軽やかなものとする。かつての親と子のギャラリーにも見られたように、思い切った振り切れ方が許容されるのは奈良博の健全なところ。館蔵品のみとしてリスク管理も万全。図録あり(354ページ、2500円)。今までにありそうでなかった奈良博館蔵品図録であることも貴重。

高月観音の里歴史民俗資料館 「西黒田・安念寺の「いも観音さん」」・長浜市長浜城歴史博物館「藤岡和泉」鑑賞記

高月観音の里歴史民俗資料館
 特別陳列 子どもと川で遊んだホトケたち 西黒田・安念寺の「いも観音さん」
(5月12日~7月19日)

 延長された会期最終日に滑り込む。黒田安念寺の「いも観音」と通称される大きく朽損した平安時代の仏像群10軀を展示。クラウドファンディングを活用した安置堂宇の修理期間中の特別公開。9世紀ごろの菩薩立像、10世紀の如来立像・菩薩立像(本尊像)、10~11世紀の如来立像2軀、11~12世紀の如来立像・天部立像、破損甚大な像3軀からなり、かつてはさらに7軀あったが盗難被害を受け所在不明。当地において平安時代を通じて伽藍が拡大、維持されてきたことを偲ばせる仏像群であり、未指定であるが地域の仏像様式を考える上で、また地域の歴史を考える上で重要な作例。クラウドファンディングを利用した経緯についての説明パネルも設置して、展示がいかに構築されたかを共有化していることも重要。図録なし。
 鑑賞後、安念寺の現地も訪れ、ちょうど草刈り作業中の地区住民の方にお声がけしてお参りさせてもらう。堂改修は最終段階で、来月仏像をお戻しして落慶式催行とのこと。地域の人びとが守り伝えたお堂と仏像を、行政とサポート役(對。馬佳菜子さん〔観音ガール〕)が連携しながら全国の方々と繋ぎ、そして支える「長浜方式」の文化財保全活動の実践であり、注目される重要な取り組み。

長浜市長浜城歴史博物館
 企画展 藤岡和泉-ユネスコ無形文化遺産・長浜曳山祭を造った大工のすべて-
(6月12日~7月31日)

 長浜城下で江戸時代から現代まで活動した大工・藤岡家に伝わった大工資料を通じて、歴代棟梁の仕事を編年的に通覧する。展示されている建物や仏壇の縮小完成図やその細部の絵様、刀掛けから前机など細々とした什器の絵図面まで、その膨大な指図の数々は、平面に筆書きされたものであるにも関わらず、堂舎や社殿、仏壇仏具、そしてなにより絢爛豪華な曳山までをも手がけた宮大工のダイナミックかつ堅実な仕事の足跡が、展示室内に「立体的」に立ち上がる。図録あり(76頁、1400円)。曳山博物館でも同時開催(うっかり気づかず見逃してしまい残念)。

2021年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2021」

 帝塚山大学博物館経営論受講生による、携帯電話の思い出2021年度版です。
 受講生それぞれの携帯電話(iPhone、スマホ)についての思い出を紹介します。本来はスマホの外観写真とともに思い出を提示したいところですが、遠隔講義のため思い出だけとします。

 これまでに行った携帯電話のWEB上展覧会は次のとおりです。大学生の携帯電話とそれにまつわる思い出の定点観測です。
 2020年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2020」
 2019年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2019」
 2018年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2018」
 2017年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2017」
 2016年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2016」
 2015年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2015」
 2014年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2014」
 2013年度「WEB上展覧会 携帯電話の思い出2013」
 2012年度「携帯電話の思い出-web上の展覧会-」
 2011年度「ケータイの思い出」
 2010年度「携帯電話にまつわる思い出」
WEB上展覧会 携帯電話の思い出2020
・お風呂でスマホを触っていると手を滑らせ浴槽に落とし水没させてしまいました。
・ガラパゴス携帯を所持していた時は、インターネットで買い物や動画視聴が出来なかったがスマートフォンを持ってからインターネットで買い物や動画視聴が出来て感動した。
・現在使用しているスマホは容量がいっぱいになり、兄にバックアップしてからファクトリーリセットをしてもらったことがあります。それ以降容量が原因で遅くなることはなくなりました。
・携帯を持ち始めたのは中学生からで、高校生まで使用していました。その後大学進学の際に初めてスマートフォンに変えたことでスマホの利便性にすごく驚き、楽しかったことがありました。写真がきれいに撮れたり、メッセージが簡単に送れたりすることに利便性を感じていましたが、今では慣れてしまい、当たり前のことになってしまったなと気づきました。
・高校生の時、愛用しているスマホが壊れて携帯ショップに取り換えてもらったことがあった。好きなゲームのデータが消えていないか、撮った写真が残っているかなどといった不安があったが、無事にデータを復元できてよかった。
・高校生の時、テニス部だったのでラケットバッグを背負って学校に行っていました。その時は音楽を聴いて学校の最寄りから歩いていました。当時挨拶運動をしており音楽を止めてラケットバックの手前のところにスマホを直そうとしていました。しかし、手が滑ってしまい、横の溝にスマホを落としてしまいました。その時はとても焦っていたのですが、挨拶運動をしていたということもあり、たまたま先生が通りスマホを取ってくれました。スマホは壊れることもなく無事でした。その後、その先生の授業があったので、とてもいじられた記憶があります。これが私のスマホの思い出です。
・高校生まで必要ないという理由で、高校に入ってやっとスマホを買えました。
・自分は初めてiPhoneに変えたのですがなかなか使い方を覚えるのが大変だった思い出があります。
・夜行バスで就寝前にイヤフォンつけてスマホで音楽を聴いていたらイヤフォンが悪いのかスマホが悪いのか音が普通に流れていました。周りに聞かれて恥ずかしい曲を聞いていたわけではありませんし、周りの人も気にした様子はありませんでしたが、それでも少し恥ずかしかったです。
・私が今使っているスマホは二代目です。1ヶ月くらいでイヤホンが中折れしたのですが、予想以上にBluetoothのイヤホンが快適だったので修理にも出していません。Bluetooth万歳。
・私が現在使っているスマホは手に入れるのにとても苦労しました。理由は丁度コロナの真っただ中だったからです。私はiphone SEで新しく発売される物だったので買い替えるつもりでした。しかし、販売は二度も延期、発売後も入出制限や購入の際の書類もコロナのせいでややこしくなりとても苦労したのは今でも忘れられません。
・私のスマホは購入から数年経過しており、そろそろ新しいのが欲しいと思っていますが、今までどこへ行くにも常に一緒で、初めて行った場所でもいろいろと世話になってるスマホはなかなか簡単には手放しづらいです。
・私は過去2度引越しを経験しました。そのことから、その土地それぞれでの幼馴染・友達と思い出の写真や今は亡きご近所さんで私を孫のように扱ってくれたおじちゃんとの写真または各場所の風景が全てスマホの中に収まっています。なので、スマホは私に関わってくれた人達や私が歩んできた人生の証です。
・私は小学校2年生の時にキッズ携帯を買ってもらったのが、最初に携帯電話を持った時です。その後も機種変更をして、高校入学の時にスマートフォンを買ってもらい、現在使用しているスマートフォンは大学入学時に機種変更したものです。子供の頃から、私は家族でお城や遺跡巡り、野球観戦をしていたので、携帯電話で様々なお城の写真を撮りました。近年はコロナの影響でお城巡りや野球観戦に行けずにいますが、写真ファイルには、お城や野球選手等の写真がたくさんあります。携帯電話やスマホは電話で話したり、写真を撮影するのがメインでしたが大学生になると、学校の出席の登録や、ラインでの仲間とのつながり、ネットでの調べ物や、バイトの募集確認など社会や世間とのつながるアイテムとして必要不可欠な存在となっています。

高野山霊宝館開館100周年記念大宝蔵展「高野山の名宝 (2期展示)」鑑賞記

高野山霊宝館
 開館100周年記念大宝蔵展 高野山の名宝
(2期:6月8日~8月1日)

 開館100周年記念展の2期目。仏画総入れ替え。紫雲殿正面と左右壁表裏には有志八幡講五大力菩薩像(金剛吼・竜王吼・無畏十力吼、平安時代、国宝)と普賢院五大力菩薩像(雷電吼・無量力吼、鎌倉時代、重文)の、それぞれ本紙縦3mを超える巨幅5幅を配して象徴的な空間を作る。有志八幡講像は東寺伝来、普賢院像は住吉大社伝来。正智院八字文殊菩薩曼荼羅図(鎌倉時代、重文)は構図・描写・梵字の筆致まで全く隙の無い鎌倉時代密教絵画の頂点をなす一作。天変地異の息災修法の本尊。竜光院両界曼荼羅図(鎌倉時代、重文)はあまり見る機会の少ない堅実な作例、金剛峯寺愛染明王像(鎌倉時代、重文)は身色の赤黒い発色が鮮やかな大幅。泉涌寺伝来資料。竜光院の大字法華経(奈良時代)、紫紙金字金光明最勝王経(奈良時代)、細字金光明最勝王経(平安時代)の国宝経典も勢揃い。聾瞽指帰(国宝)、諸尊仏龕(国宝)、八大童子立像(国宝)など通期展示の資料も何度も何度でもじっくり鑑賞。収蔵品図録あり(214頁、4500円)。

「もし「博物館なんていらない、全部なくしたらいい」と言われたら、どのように答えますか。」(帝塚山大学「博物館経営論」アンケート)

帝塚山大学で受け持っている博物館経営論で、大阪人権博物館が閉館に至った非道な事例を紹介した週に、受講生に「もし「博物館なんていらない、全部なくしたらいい」と言われたら、どのように答えますか。」というアンケートに応えてもらいました。設問は極論のようではありますが、あらゆる博物館が常に社会の中における存在理由を問われ、それに応えながら活動しています。現代社会が直面するさまざまな問題を考えるための、一つの手がかりとするために、共有します。(※回答の五十音順に表記)

・あなたにとっては必要ないだけ。自分のものさしだけで物事の必要性を測らないでください。と、答えます。
・「あなたは子供たちの教育の場である博物館を消すおつもりですか」と言います。
・一度あなたの好きな分野の博物館を覗いてみてください。いろんなことを知ることは人生が豊かになり、生きる力になります。
・今ある物や前からある物を保護することや伝えることは出来るけれど、失ったものは保護することも伝えることも難しいから必要。
・ではどうやって歴史的遺産について学びますか?
・何事にもメリット、デメリットがあると思います。一つの概念を全て変更する・消す事はこのメリットとデメリットが非常に大きいです。「いらない」や「全てなくせばいい」といった根拠の乏しい理由ではなく、博物館に勤めている人の視点も踏まえた上で納得のいく説明ができることが求められるのではないでしょうか。
・日本の文化や歴史を感じられる場所の一つとしての役割を果たす博物館をなくしてしまっては、日本人が文化や歴史を知る機会が少なくなるうえ、世界の人が実際に日本の歴史や文化に触れることができる機会の一つを奪ってしまうことになってしまうのではないでしょうか。
・博物館が無くなってしまうと知識や教養を得る場所が無くなってしまうから。
・博物館で働いている人たちは、その仕事が好きでやりがいを感じている。また、展示品を見るのが好きで博物館に足を運ぶ人々もいる。そのような人たちの意見も尊重してほしいと答え、全国の人々に目に入る形で博物館の良さを伝えていく。
・博物館は世界の重要な遺産を守り、国民に展示して娯楽と知識を与える機関であるので、全部なくすなんていう考えはありえません。
・博物館は必要です。博物館には教育上の役割があり、教育や文化の普及、貴重な学術資料などの保存し、一般に展示して相互理解を増進しています。よって体制を変化させたとしても全てなくしてはいけないと考えています。
・博物館を全部なくすということは、全く考えられない。博物館は人類の宝(財産)、文化遺産を取り扱う特別な場所である。もし、日本国内で国公立の博物館がすべて閉鎖するとすれば、民間の博物館へ委託するか、クラウドファンディング等の活用で新しい博物館を建設して文化財保護のため博物館を建設すべきである。それでも日本国内で全ての博物館が運営不可の政策になれば、文化財保護と日本文化普及のために、海外の博物館での保管等も検討すべきである。海外の展示になれば、実物を鑑賞することは難しいが、インターネットの普及により、自宅のパソコン等を利用した鑑賞や、学習することが出来る。博物館をなくすことは反対であるが、そうなった場合の対策をとるべきであると考える。
・博物館を無くせばいいという考えが、正当な理由に基づいてなのかあるいは単に自分が興味ないからという個人感情なのかによって答えは変わると思いますが、博物館が無くなれば地域の歴史や文化を学ぶ機会が減り、国宝や重文など貴重なものを見る機会も大幅に減ってしまいます。日本の未来のことを考えるなら無くすのではなく共に考えていくのが重要ではないかと思いました。
・短く話すなら、博物館はいる。無くす必要性が感じられないと答えます。安直な答えですが、作品その物には罪はないので。
・もしも博物館が無くなってしまえば、今の時代に遺されたものが大勢の人の目に触れる機会が無くなってしまいます。先人たちが積み上げてきたものの証である展示物の数々が本の中だけの存在になってしまい、子供達がそれを直接見て学ぶことができなくなってしまうので、博物館は残した方がいいと思います。
・四字熟語に温故知新という言葉があり、意味は古いことを学ぶことによって新しい知識を得ることができる、である。博物館に行くことによって新しい知識を得られるかもしれない。

高野山霊宝館「開館100周年記念大宝蔵展 高野山の名宝」(1期展示)鑑賞記

4月19日
高野山霊宝館
 開館100周年記念大宝蔵展 高野山の名宝
(1期:4月17日~6月6日)

 同館の開館100周年を記念して、11月28日まで会期を4つに分け、収蔵する国宝・重文のほとんどを公開。空海筆聾瞽指帰(国宝)、諸尊仏龕(国宝)、飛行三鈷杵(重文)の高野山三大秘宝をはじめ、運慶作八大童子立像(国宝)、快慶作孔雀明王坐像(重文)、大日如来坐像(西塔伝来・重文)などは通期展示。1期の目玉は阿弥陀聖衆来迎図(国宝)と澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃(国宝)。ほか蓮華三昧院阿弥陀三尊像(国宝)、丹生明神・高野明神像(重文)、南宋時代の如来像(重文)、元時代の阿弥陀八大菩薩像等々重要資料目白押し。展示に合わせて作製した収蔵品図録あり(214頁、4500円)。八大童子のうち当初像6体は独立ケースに安置されて間近に鑑賞可能。しばし運慶を独り占めさせてもらって幸せ。

浜松市美術館「みほとけのキセキ-遠州・三河の寺宝展」鑑賞記

4月18日
浜松市美術館
 企画展 みほとけのキセキ-遠州・三河の寺宝展-
(3月25日~4月25日)

 遠江6か寺、東三河の1か寺の浜名湖文化圏の寺院に伝わる仏像を紹介。猪鼻湖北の微高地に位置する摩訶耶寺千手観音立像(10c)をはじめ、普門寺の興隆期を具体的に示す12世紀の仏像群など重要文化財多数出陳。浜名湖面に隣接する舘山寺から明治4年に移された応賀寺阿弥陀如来坐像(12c)は、本来湖を含めた景観を浄土に見立てて安置された可能性が示され、国境・弓張山地の東西に位置する普門寺と摩訶耶寺両寺の不動明王立像(12c)の表現に類似性があり図像継承があった可能性が指摘されるなど、仏像から地域の信仰史を浮かびあがらせており重要な成果。像内銘に二十五菩薩の名称を記す西楽寺の来迎形阿弥陀三尊像(12c)も浜名湖と浄土信仰の関わりを見たいところ。ほか南北朝時代の基準作例である方広寺釈迦三尊像(観応3・1352、院吉ほか作)は明治時代に茨城県から招請された移動する仏像。図録あり(114ページ、2000円)。

方広寺
 方広寺創建650年記念特別寺宝展
(3月13日~11月28日)

 美術館から足を伸ばして奥山方広寺ご参拝。本堂では寺宝展開催中。応安6年(1373)の讃のある開山無文元選像ほか中世の無文元選の頂相、木喰の准胝観音立像・地蔵菩薩立像・吉祥天立像など。谷地の大伽藍内のあちこちに配された五百羅漢を巡り歩く。

京博「鑑真和上と戒律のあゆみ」、京文博「よみがえる承久の乱」、高麗美術館「朝鮮の仏さま」、東寺宝物館「平安時代の東寺」鑑賞記

4月10日
京都国立博物館
 凝然国師没後700年特別展 鑑真和上と戒律のあゆみ
(3月27日~5月16日)

 日本戒律の展開を古代から近代まで俯瞰する意欲的な展示。唐招提寺鑑真坐像、西大寺叡尊坐像(4/20~)はじめ、導御・俊芿・凝然・忍性ら鎌倉時代の律僧から慈雲ら近世の律僧まで、その肖像とともに幅広く事蹟を拾う。戒律の根拠となる経典・聖教を多数集めた硬派で真面目な展示は、誠実に仏法に向き合って生きた清僧たちへの敬意と憧憬のあらわれであり、共感。図録あり(336ページ、3300円)。

京都文化博物館
 特別展 よみがえる承久の乱-後鳥羽上皇 VS 鎌倉北条氏-
(4月6日~5月23日)

 鎌倉時代のダイナミックな政治史・文化史の動きを、承久の乱に焦点をあてて叙述する。「承久三、四年日次記」(仁和寺)など検討するための史料が限られるところを、東寺百合文書、諸日記、写本、古筆切、模写まで資料博捜して展示構築。80年ぶりに所在確認された承久記絵巻のお披露目とともに、ストーリーテラーとして有効活用。後鳥羽院追善供養の阿弥陀三尊像(峰定寺)、熊野懐紙、熊野本地仏曼荼羅をありがたく鑑賞。図録あり(240ページ、2800円)。

高麗美術館
 朝鮮の仏さま
(4月1日~8月17日)

 同館所蔵の統一新羅〜朝鮮時代の仏教美術をお蔵出し。統一新羅~高麗時代の鉄造如来坐像、木造菩薩立像(朝鮮時代後期)、康熙28年(1689)銘阿弥陀三尊仏龕や、隆慶3年(1569)熾盛光如来降臨図、大定4年(1164)の梵字銀象嵌香炉、貞右13年(1225)梵鐘など紀年銘資料や、高麗時代の六尊五鈷鈴など40点。図録なし。

東寺宝物館
 平安時代の東寺-真言密教の根本道場-
(3月20日~5月25日)

 平安時代の東寺について仏法僧の三宝に沿う形で章立てし寺宝紹介。聖僧文殊坐像(9c)、武内宿禰坐像(10c)、五大尊像(12c)や東寺定額僧等連署申状や真言院後七日御修法請僧交名案、善通曼荼羅両寺司等解など平安時代の古文書など。一般500円。リーフレット(8ページ)あり。

有田市郷土資料館「資料から読み解く浄妙寺・多宝塔と薬師堂の歴史」鑑賞記


3月14日
有田市郷土資料館
 特別展 資料から読み解く浄妙寺・多宝塔と薬師堂の歴史
(1月23日~3月21日)

 有田市浄妙寺の重要文化財多宝塔・薬師堂の建築史的位置づけについて、近代期の複数の修理における資料を博捜しながら紹介。同寺に伝来する蓮弁が刻まれた断片部品について検討し、薬師堂内の重文須弥壇の関連部品と特定するなど、着実な研究成果を展示に反映。多宝塔内部の真言八祖・八相成道図(和歌山県指定文化財)については、パネル化して実際の内陣と同様に配置しその荘厳空間を体験できるようにするなど、近年出色の建築史展。図録あり(42ページ、700円)。

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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